正規化筋電図包絡線

 咀嚼時の下顎運動や咀嚼筋活動を分析することは,顎口腔系の機能状態の診査・診断に寄与する情報を得ることができる。下顎運動においては,下顎切歯点の動きをとらえ,各咀嚼ストロークにおける咀嚼パターンの運動経路に注目した分析が数多くなされている。しかし,咀嚼運動時の筋電図はストロークごとに筋放電パターンは変化する上,種々の測定条件に左右される電位の振幅値は客観性に乏しい。したがってストローク単位の筋電図パラメータの比較は容易ではなく,個人間あるいは個人内での比較には正規化が必要である。この問題を解決するために,われわれ(柏木宏介,徳永 徹,蕭 美英,田中昌博,川添堯彬.ガムチューイング時における咀嚼筋EMGプロフィールの観察 日本補綴歯科学会雑誌 37:1223−1231,1993)はヒト歩行時の筋活動パターン分析に開発されたEMGプロフィール(正規化筋電図包絡線)を咀嚼運動に応用した。すなわち咀嚼周期と筋活動量を正規化し,ガムチューイング時の各咀嚼ストロークにおける定型的な咀嚼筋の活動パターンを示す咀嚼筋EMGプロフィールを作成した。




 
 

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