鼻咽頭誘導

鼻咽頭誘導

 多くの顎関節症患者に頭顔部の慢性痛がみられる。しかしながら知覚の感受性は, 患者個々で異なり,しかも患者自身の精神状態によっても変化するといわれ, どの程度の知覚障害なのかを歯科医がつかむのは難しい。
 頭顔部の知覚は三叉神経に支配されていることから,顎口腔領域の知覚障害に関する検査のひとつに, 三叉神経体性感覚誘発電位(TSEP)の記録があげられる。頭皮上誘導による中長潜時成分には, 警戒,注意の集中と散逸など被験者の心理的影響が反映されるという。成田らは抹消から脳幹部までの 機能を反映する単潜時成分の導出を鼻咽頭電極を用いて,三叉神経節あるいは脳幹に近接した部位から 非観血的にTSEPの鼻咽頭誘導を行った。
 そこでわれわれ(田中昌博,岩田光生,貴島真佐子,佐藤正樹,田中誠也,川添堯彬. 下口唇刺激における鼻咽頭誘導について.日本補綴歯科学会雑誌 40(第96回特別号) :95,1996)は1997年,同方法で口唇部やオトガイ孔上の歯肉部刺激に伴う 三叉神経第V枝由来SEPの鼻咽頭誘導を試みた。


 
 

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