歯間力伝達様相

 咬合が歯に作用した際,その力は幾つかの方向に分力を生じ,これらの力は歯軸方向だけではなく 近遠心や唇(頬)舌方向にも働く。ただし近遠心的には歯列の隣接接触関係により,全歯に力が伝達 ・分配さ れ,歯の位置は安定に保持される。しかしながら,この隣接関係の正碓な機能把握は現在ま で行われてお らず,歯科修復措置に際して,術者の経験と勘,およぴ患者の訴えに頼っているのが実 情である。しかし 歯列は,連続して相隣接する複数歯相互の力学的均衡により安定しており, 修復措置に際しては,隣接関 係を機能的に捉えることが必要である。そのため隣接歯間のカを測定し, 歯列内での力の伝達状態を検 索することはきわめて重要である。
 われわれ(前野郁尚,田中昌博,更谷啓治,佐古好正,楠本哲次,川添堯彬.高分子圧電フィルムを 応 用した歯間力測定.バイオメカニズム 8:109-117,1986)は高分子圧電フィルムを 応用して, 狭小な歯間に直接挿入,固定できるForce sensorを製作し,本研究に着手した。




 
 

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