食べる楽しみをいつまでも

#005 「家族の笑顔がみたい」から「みんなの笑顔がみたいへ」挑戦はつづく

1つの思いが道を作り、続ける事で今を創る

優しい笑みを浮かべながら熱意を込めて話をしてくださったのは、高齢者歯科学専攻 井戸垣 潤さん、大学院3回生。現在、microRNAの研究と、教育に関する研究を主にされています。
 研究で多忙な中、井戸垣さんは、はみがきニスト「はみがきじゅん」いう親しみやすいキャラクターネームで、ボランティア活動や勉強会など、 子供たちやお年寄りに歯の健康の大切さをわかりやすく伝える一風変わった試みをされています。 ボランティア活動をはじめて約10年。その活動が話題を呼び、2017年1月31日に、明るい介護の始め方 / How to start a cheerful careと題してTEDxOsakaUで、登壇されました。今回はそんなアクティブな井戸垣さんにお話を伺いました。

笑顔が見たい ずっと笑顔でいてほしい

ーーー大阪歯科大学で高齢者歯科の勉強をされるきっかけは何だったのでしょうか?

井戸垣:祖父母を喜ばせるためでした。高齢になった祖父母に何かをしてあげたいと思ったのです。歳を重ねると、頑固になったり怒りっぽくなったりするのですよ。ですのでそんなときに、祖父母を喜ばせるためにマジックをはじめました。タイ式マッサージを学んだり、ときには鼻眼鏡を掛けたりもしましたね(笑)。そうすると、自然と笑顔へ変わるのです。
 いつまでも笑顔でいてほしいと思った延長線上に「食べる楽しみをいつまでも忘れないでほしい」そういう思いが生まれ、自然と歯科医を目指すようになりました。ですから歯科医になってからは高齢者歯科の分野へ迷わず進んでいきました。

-ーー井戸垣さんがボランティアを始めたきっかけは何ですか?

井戸垣:ボランティア活動は10年くらい続けています。ですがはじめは祖父母を喜ばせることからはじまりましたから、その延長線で祖父が通っているホームに呼ばれ、マジックなどをすることになりました。
 徐々に「家族の喜ぶ姿を見たい」から「みんなの笑顔が見たい」へ変わっていった感じです。いつの間にか、自分の活動が10年という歳月になり、ボランティアというかたちに変化していったのでしょう。
 老人ホームへ出かけたり、子どもたちへの読み聞かせをしたりと活動の場がドンドン広がり、今回のようなTEDxOsakaUに呼んでいただくという一つの成果になったのだと思います。

やればできる。行動することがチャンスに繋がる

ーーー勉強とボランティアの両立は大変だったのでは?

井戸垣:僕はやる気があれば何でもできると思っています。大阪歯科大学の学生は一つの目標を「かたち」にするために頑張っています。ですが一人ではできないことも多い。その頑張りを、プロフェッショナルの多い大阪歯科大学の先生方が後押しをしてくださり「思い」を「かたち」にすることが可能なのだと思います。
 そして学生、先生を問わず「面白いこと」をしている方も多い。その活動を見ていると自分も頑張ろうと思うのです。切磋琢磨する環境が整っているということかもしれませんね。負けていられないと思うことも原動力です。

ーーー大学を卒業し大学院生になり、現在はさまざまな研究を続ける井戸垣さんは、文部科学省のインターンシップに参加したりと様々な活動を続けています。そんなアクティブな井戸垣さんが感動したことは何だったのでしょうか?

井戸垣:実は文部科学省のインターンシップを経験する前に祖父が危篤状態になってしまいました。 帰りたい気持ちになったりもしましたが、全国の学生の中から選ばれた責任や様々な思いから学び続けることを選択しました。僕にとっては身を切るような決断でした。
 クタクタになりながら仕事から帰ってきては、毎日上がってくる祖父の検査結果に目を通します。検査結果を見ながら医師をしている父と様々な討論を繰り返しました。喧嘩をすることもありました。その時、本当の医科歯科連携を体験したのだと思います。
 そして文部科学省でのインターンシップを終えて帰宅した数日後、TEDx Talksを動画サイトから祖父とともに見ることができました。祖父はもういませんが、自分のことのように喜んでくれた姿が忘れられません。最期に自分の活動の集大成を見せてあげることができた。これは誰もが体験できることではないと思います。

ーーー現在、挑戦していることは何ですか?

井戸垣:大学生時代に学生研究を行いSCRP(スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラム)日本代表選抜大会に本学代表として英語での研究発表を行いました。
 大学院では、ウルグアイ国立大学歯学部のProf.Susumu Nisizakiの客員教授授与式に随行させていただいたり、本学と中国5大学で行われるFIS(Forum for International Students)に本学代表として登壇するなど、グローバル体験をさせていただきました。大阪歯科大学では、他にも様々な国際交流プログラムがあり、国際的な学術交流にチャレンジすることができます。
 また、日常会話だけではない臨床や研究を通して行う学術交流の場は、大変でしたが、たくさんの学びや自分自身の大きな成長に繋ったと思います。今後は、臨床の話や研究発表、そして現在行っている歯の話などのボランティア活動を海外で行うことができたらいいですね。挑戦します!

ーーー最後になりますが、大阪歯科大学へ入学してこられる学生へ伝えたいことはありますか?

井戸垣:努力は報われる。そして叶います。ですが実際に自分から動き、導き出してこそ、その夢は叶うのです。諦めず前へ進み続けてください!

 井戸垣さんのお話をお聞きして最も印象的だったのは、様々な出来事を井戸垣さんらしい解決方法で前向きに取り組んでおられる姿でした。解決したい出来事に対して様々なアプローチを自分で考えて実行に移す。その行動力はとても魅力的に映りました。
 はじまったばかりの研究も、いずれ実を結び井戸垣さんならではの成果をみせてくださると信じています!素敵な笑顔のままこれからもがんばってください。応援しております!