貴重図書コレクション

Collection of valuable historical books In the library of Osaka Dental University

貴重図書コレクション

本学の図書館には、16世紀以降に欧米で出版された歯学及び医学・生物学分野の貴重図書が約100点ほど収蔵されています。第37回卒業生(平成元年3月卒業)から寄贈されたJoseph Fox著“The Natural History of the Human Teeth”に始まる貴重書の収集は、その後も購入や寄贈を募るなどで充実を図ってきました。楠葉へのキャンパス移転の際、図書館建設において貴重図書室を新たに設け、収蔵・展示・閲覧が可能になりました。
貴重図書への一層の理解を深め、より多くの人に知ってもらうために、ここでいくつかの図書を紹介します。


歯科外科医

世界最初の本格的な歯科医学書

『歯科外科医』初版
Le chirurgien dentiste, ou, Traité des dents / Fauchard, Pierre, Paris : Jean Mariette , 1728

「近代歯科医学の父」として名高いフォシャール(1678-1761)は、フランスにおける歯科学の先駆者であり、世界で初めて歯科専門の外科医として治療院を開いたことでも有名です。 ブルターニュに生まれ、15歳で外科医生として海軍に従軍、外科の基礎を学び、壊血病などの口腔疾患の治療を経験します。19歳になると、自ら造語したChirurgien-dentiste(外科歯科医)を標榜して開業し、その本格的な医術により名声を博しました。40歳でパリに進出した後、長年にわたる膨大な臨床記録を基に、歯科治療に関する知識を体系的にまとめ、出版されたのがこの『歯科外科医』です。最先端の治療を織込んだ独創的で的確な内容は基礎から臨床に及んでおり、それ以前には秘術・秘法とされていた歯科治療法が初めて明らかになりました。最高の歯科医学書と称賛され、医学関係の教科書として、ドイツをはじめ欧州各地でも翻訳され、大きな影響を与えています。 本書は、歯科医学の急速な発展を促すとともに、歯科学を医学的基盤に立つ独立した存在として、その位置づけを高めるきっかけにもなったのです。

シュレージェン地方の子供の金の臼歯に関する考察

"噂"から始まった16世紀のユニークな論文

『シュレージェン地方の子供の金の臼歯に関する考察』 初版
De aureo dente maxillari pueri Silesii / Horst, Jacobi, Lipsiae : impensis Valentini Voegelini , 1595

1593年、シュレージェン地方シュバイトニッツで、下顎に金の臼歯を持つ子供が発見されたとの噂がドイツ全域に流布しました。科学的根拠に基づくものではありませんでしたが、当時はそれについて多くの論文や小論が発表されました。ドイツの医師でユリウス大学医学教授であったホルスト(1537-1600)もそのうちの一人で、本書において、下顎に金の臼歯が生えたのは、子供の出生時における星座の位置関係による自然的および超自然的要素によるものだ、と解説しています。

歯と歯肉およびその病気について

各家庭における口腔疾患の手引書

『歯と歯肉およびその病気について』 初版
A popular treatise on the teeth and gums / Winckworth, John , London : Renshaw and Rush , 1831

本書は、専門家のためではなく、各家庭における手引書となることを目的に執筆された著作で、19世紀初頭の歯学書の中でも最も珍しいもののひとつです。大英図書館にも所蔵がなく、National Union Catalogueでもわずか3か所の所蔵しか確認されていない、とても貴重な1冊です。