臨床実習



目的

 附属病院における臨床実習とは,実際に口腔疾患を持った患者を対象として, 患者の人格を尊重するという基本理念に則り,臨床の場における歯科医学の 習得と医療担当者としてふさわしい人格の養成を目的としている。
われわれ歯科補綴学第2講座では,咬合回復治療に必要な学理と実際を理解し, 患者の抱える問題を,一口腔単位に,顎口腔系として,全身的,全人的にとらえて 適切な診断と治療がおこなえる能力の育成を心がけている。

日程と内容

第5学年前期(4月〜8月)

○統合講義
咬合と顎関節機能について,基礎と臨床を総合的に統合した形式で講義を行う。
○プレクリニック実習
臨床実習に関連して必要となる基本的知識,手技・操作を習得する。
・ファントムを用いた支台歯形成 
支台歯形成では,かけがえのない生体に侵襲を加えることになるため,生体,口腔,歯および軟組織に対する尊厳さを十分に認識するために,ファントムを用いて徹底して練習する。
・咬合診査
相互実習形式で,ブラックシリコーンおよび咬合紙による咬合診査, シームストックによる引き抜きテストを行い,下顎位,下顎運動,咬合に関する十分な知識を習得する。

第5学年後期(9月〜3月),第6学年前期(4月〜9月)

○臨床実習
 臨床実習は総合診療方式で行われ,1年間を通じて担当する患者については,初診から終診までの経過を体験できる。
 われわれ有歯補綴咬合学講座では,おもに有歯顎者の咬合回復治療を担当しているが,欠損,欠如に伴うさまざまな疾患,病態そして障害を咬合機能を中心に考え理解できるように,その診査,診断,治療計画,設計,患者とのインフォームド・コンセントの確立,前処置などについては特に重視している。また,一口腔単位,顎口腔系として治療を進めていく上で,症例においては,テレスコープやインプラントを応用したオーラルリハビリテーション,ラミネートやキャスタブルセラミックス,ハイブリッドセラミックスなどによる審美補綴,顎機能異常,歯周補綴などの症例を体験することができる。
・POSの導入
従来の知識伝授型診療システム(DOS)に対して,個々の患者すなわち病人の抱える問題の解決を基本とする患者志向型の教育システム(POS)を強化すべく,POMR(問題志向型診療録)の記載を行っている。
・ファントムセミナー
現在の見学中心の臨床実習では不足しがちである支台歯形成を体験する機会を設けるよう,ファントムによる支台歯形成を学生の希望に応じて行っている。
・臨床カンファレンス
小人数ごとのグループで症例検討や興味あるテーマについて討議する機会を設けている。
 
 

 

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