合着用セメントについて    C4班

私たちは、大阪歯科大学付属病院(8F)で使用されている合着用セメントについて調べた

製品名 パナビアフルオロセメントR ケタックセメントR ジーシーフジⅠR トクソーアイオノマーセメントR エリートセメントR フジルーティングセメントR
系統 光/化学重合型コンポジットレジンセメント グラスアイオノマーセメント グラスアイオノマーセメント グラスアイオノマーセメント リン酸亜鉛セメント グラスアイオノマー系レジンセメント
特徴 ・高い接着能を発揮する。
・フッ素イオン放出機能を有する。
・歯の削除量が少なくて済む。
・硬化後の強度に優れている。
・保管に注意を要する(冷蔵保存)
・接着操作が難しい
・硬化後の余剰セメントの除去が困難。
・硬化時の感水にもほとんど影響を受けない。
・リン酸亜鉛セメントに匹敵する圧縮強度を持つ。
・生体親和性がある。
・生体親和性に優れている。
・高い歯質接着性がある。
・操作余裕時間が長い。
・口腔内でシャープに硬化する。
・初期物性の発現が早い。
・粉液のなじみがよい。
・X線不透過性がある。
・フッ素徐放性がある。
・練和が容易である。
・適合性が良好である。
・水に対する溶解性が小さい。
・X線造影性がある。
・硬化が早い。
・粉末が微細で液とのなじみが良好。
・練和性が抜群。
・強い強度を有している。
・液が褐色に変色することがある。
・練和はガラス練板とステンレス製のスパチュラが必要。
・水中で溶解する。
・口腔内に露出したセメント層をできるだけ薄くできるような寸法精度のよい修復物を作る必要がある。
・練和が容易である。
・早期に物性が安定する。
・フッ素徐放性がある。
・ポーセレンジャケットクラウンは合着できない。
・練和完了の認識がしにくい。
・歯髄刺激性がある。
用途 クラウン・ブリッジ・インレー・アンレー・ポーセレン・ラミネートベニアの合着、支台築造 インレー、クラウン、ブリッジの合着、矯正用ブラケットの装着およびセメントベース インレー、クラウン、ブリッジ及び矯正用バンドの合着、コンポジットレジン、アマルガム充填時の裏装 インレー、クラウン、ブリッジの合着、及び矯正用ブラケットの装着、窩洞の裏装、支台築造、乳歯充填 インレー、クラウン、矯正装置などの合着、裏装 インレー、クラウン、ブリッジ、メタルコアの合着
使用頻度 高い 低い 高い 普通 低い 高い

 
 合着に使用されるセメントは、グラスアイオノマー系のものが主流であるようだ。理由としては、グラスアイオノマー系セメントの特徴である歯髄安定性と高い生体親和性が挙げられる。
セメントに要求される性能は、一般的には、合着力・接着力、歯髄への刺激が少ないこと、溶解性がないこと、操作性が良いことなどが挙げられるだろう。他にも、フッ素の徐放性などを望む臨床家も多い。
 補綴・保存治療を成功させる最も大きな要因のひとつに、合着作業がある。そして、その合着作業が、それまでの高い精度でなされてきた作業の結果を無にしてしまいかねない危険性を持っている。しかも、装着された補綴物は、長期間口腔内で維持されなくてはならない。よって、患者のためには溶解の少ないセメントは必要なのではないかと我々は考える。
 性質という観点からすれば、以上のようなセメントが必要だと思われるが、どのセメントも利点と欠点を持ち合わせている。臨床家それぞれセメント選択の理由は違うが、どのようなセメントであっても適正な粉液比を守り、粉末と液のなじみが良いからといって適当に混ぜるのではなく、規定時間通り練和することは当然である。また、セメントが補綴物・修復物の悪さを補助しないし、咬合の不備を助けてはくれないことを忘れてはならない。材料の能力を最大限に引き出すには、正しい使い方を守り、適合と咬合関係の良い補綴物・修復物があって初めてなされるものなのである。