高齢者歯科について

 わが国が高齢社会になったため,顎・口腔・歯の治療を必要とする患者での高齢者の割合も増加している。これらの患者では,ほとんどの者が全身的な基礎疾患を有している。また,高齢に伴って通院して治療を受けることが不可能な患者も生じている。このような患者には,従来の成人に対する顎・口腔・歯の治療では対応が困難なことが多く,新しい方策が必要である。


高齢者歯科の専門医(エキスパート)の資質

 まず有床義歯を中心とした歯科補綴専門知識と技術を持つことが基本であり,それに有病者,とりわけ心疾患,脳血管疾患,高血圧疾患患者に対応できるように,内科的知識,薬剤知識の習得,簡単な救急医療,さらに,寝たきり高齢者への訪問診療ができることが必要と思われる。
 このような総合力を兼ね備えた歯科医を育成することが,これらの高齢社会には必要である。