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日本歯科保存学会2002年度秋季大会(第117回)
会期2002年(平成14年)11月21日(木)、22日(金)、22日のポスター発表
徳島県郷土文化会館 (徳島市)
日本歯科保存学雑誌 45巻 秋季特別号 145頁 (平成14年10月21日発行)
三次元コンピュータグラフィックスによる病態模型教材
Desiese Model of Three-dimentional Computer
Graphics for Dental Educaiton
大阪歯科大学 歯科保存学講座
○川本雅行、吉原正晃、岸田睦彦、川人照美、江頭 勝、小林久紀、井上正義.
Masayuki KAWAMOTO, Masaaki YOSHIHARA, Nobuhiko
KISHIDA,,
Terumi KAWAHITO, Masaru EGASHIRA, Hisaki
Kobayashi, Masayoshi INOUE.
【緒 言】 近年のコンピュータ技術の進歩により、特別な装置を持たない一般的なコンピュータで、三次元コンピュータグラフィックス(以下、三次元CG)の表示が可能となった。演者らは、歯学教育の効率化と質の向上をめざし、三次元CG技術を応用した自習用教材の可能性について検討、報告してきた1、2)。歯科医学の学習では、「立体と空間の認知」が求められる場面が多く、歯および口腔領域の解剖学、成長発育、病変の広がり、各種治療術式、窩洞・支台歯の設計、義歯の設計、咬合と顎運動および歯科矯正学などの学習では、三次元CGを利用した教材が有効であると考えられる。
今回、病変の広がりの三次元的な認知を助けるための三次元CG教材として、齲蝕および歯周病の三次元モデルを作成した。今回は特に、透過性を付与した三次元モデルを作成し、組織内部の構造を対話的に表示する三次元CG教材の有用性を検討した。
【教材の作製】 3ds MAX 4(discreet)にて、下顎左側第一大臼歯の象牙質にいたる咬合面齲蝕および同歯の歯周病を示す三次元モデルを作成した。咬合面齲蝕の三次元モデルでは、健全なエナメル質および健全な象牙質に透過性を与え、内部の齲蝕および歯髄が表示されるようにした。歯周病の三次元モデルでは、歯肉に透過性を与え、歯槽骨の吸収の程度が表示されるようにした。作成した三次元モデルは、Scene
Exporter (discreet)を用いてW3D形式に変換後、Director
8.5 Shockwave Studio (Macromedia) にて教材を作成、Shockwave
Player を導入した Internet Explorer
5 (Microsoft)
にて表示した。
【結果と考察】 三次元CGは多彩な表現力を持ち、咬合面齲蝕の広がりや歯槽骨の吸収について立体的に表現する三次元CG教材を作成することができた。しかしエナメル質の齲蝕円錐の向きについては明確に表現することが困難であった。以前に試作した三次元CG教材において、メタルインレー窩洞における窩縁斜面(ベベル)の角度の表現が困難であった1)ことからも、三次元CGで角度の差を明確に表現するには、さらなる工夫が必要になると考えられる。
試作教材のサンプルは、下記URL3)にて公開している。
1) 川本雅行 他:効果的な学習教材への三次元コンピュータグラフィックスの応用 第1報;日歯教誌
11(1), 101-107,1995.
2) 川本雅行 他:効果的な学習教材への三次元コンピュータグラフィックスの応用 第2報;日歯保存誌
44(秋季特別号),175,2001.
3)http://www.osaka-dent.ac.jp/od/3d/
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