1.沿革と現状

 本会は、昭和6年6月24日大阪歯科学会として歯学ならびに医学の進歩、発展に寄与することを目的として創設された。 会の運営にあたる役員のうち、会長、副会長各1名および監事2名は、教授の互選により選出され、常任理事、理事、幹事および評議員は、会長の委嘱によって決められる。 役員の任期は創設以来1年であったが、昭和63年に抜本的な会則改正が行われ、2年に延長された。 正会員は、本会の趣旨に賛同する科学者をはじめ、本学の教員、専攻生、大学院生、研修生などから構成されている。 以前は本学の3年生から6年生までの学生が準会員という資格で入会していたが、会則改正後は構成会員から除外された。 しかし、平成10年から学部学生で本会への入会を希望する者は学生会員として扱うことに決められた。 また、平成8年からは歯学およびこれに関連する医学の進歩、発展に貢献する研究業績をあげた若手研究者を表彰するために大阪歯科学会奨励賞が設けられた。

 

2.例会と学術雑誌

 本会では、会員の研究発表などを行う例会を偶数月の第2土曜日に開催している。 演題の募集と整理は事業部が担当し、例会当日の進行は輪番で各講座の教員に依頼している。 演者のほとんどは本学のいずれかの講座の在籍者であるが、大学院歯学研究科で予備審査を受け承認された他大学の研究者にも発表する機会が与えられている。 会場では常に活発な討論がなされ、その記録は学会誌である「歯科医学」に掲載されている。
 当学会では和文学術雑誌として「歯科医学」を、英文学術雑誌として「Journal of Osaka Dental University (JODU)」をそれぞれ年2回発行している。 両学術雑誌ともに内容は研究成果を論文にまとめた原著が多数を占めているが、臨床講座からは新知見を含む症例報告や治験レポートなども投稿されバラエティに富んでいる。 投稿論文については昭和62年9月から査読制度が導入され、編集委員(査読委員)会で査読したうえ原稿の採否を決定している。 英文についても欧米人の読者に違和感を与えないための配慮もあって昭和61年4月からDr.Thomas R.Wardが校閲にあたっている。 また、JODUは令和3年第55巻第2号から冊子体の発行を終了し、電子ジャーナルに移行した。

 

3.学術・研修大会

 本会では通常、年1回の大会を開催している。 大会の運営は従来から同窓会との共催で、双方から企画案が提出され、できるだけ今日的な話題を選択して会員の要求に応える努力がなされている。 演者には、学内教授、助教授をはじめ厚生省、日本歯科医師会役員はもとより在野の逸材にいたるまで幅広く各方面から選抜された科学者をあて、講演会あるいはシンポジウム形式で行っている。 例年、遠方からも多数の会員が参集しているが、平成2年度からは日本歯科医師会の生涯研修事業が全国規模でスタートしたこともあって、ますます盛況である。 また平成10年11月には、大阪歯科大学と学術交流協定を締結している中国上海第二医科大学口腔医学院との上海・大阪歯科医学合同学術大会を、大阪歯科大学同窓会と本学会が共催のもとに実施した。

 

4.学会活動の情報化

 近年、学術情報の量的増大と多様化が急速に進んできたことから、学術情報を迅速かつ的確に利用することなしには学術研究を効率的に進めることは困難であるとまでいわれるようになってきた。 大阪歯科学会では、平成3年から文部省が支援する「学術情報センター」の「学会発表データベース」に参加し、大阪歯科学会における発表内容を迅速に学術情報ネットワークに載せることにしてきた。 学会発表データベースのサービス終了に伴い、現在では国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST)が運営する「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)に「歯科医学」および「Journal of Osaka Dental University (JODU)」の1990年以降出版の論文を公開している。

 

5.学術会議

 大阪歯科学会は日本学術会議の協力学術研究団体として指定を受けた団体である。第12期(昭和58年〜昭和61年)までは、 本学会からは白数美輝雄元学長が長年にわたって会員として選ばれていた。第13期からは日本学術会議が法律によって改組されたが、 第13期会員選挙の執行は中止となり、第12期会員の任期が延長された。 第14期(昭和63年〜平成3年)からは登録学協会としての認定を受け、口腔機能学研連に所属した。 平成17年の日本学術会議法改正による組織改編からは協力学術研究団体として登録されている。