主任教授からのご挨拶

 当科は関西における歯学部・歯科大学附属病院において唯一口腔インプラント治療を専門におこなう部門として平成9年から診療を開始しました。そしてこの間に膨大な治療経験と多くのスタッフを抱える診療科として発展してまいりました。

 インプラント治療とは人工の歯根(チタン製金属)を顎に埋め込むことで食べる機能を天然歯と同程度にまで高めることが出来る治療法であり、また審美的にも優れているのが特長です。この治療法は、歯を失くした患者さまにとっての治療の選択肢のひとつとして近年増加傾向にあり、また日進月歩で新たな開発がなされている治療法でもあります。

 最近のインプラント治療の具体的な特徴を挙げてみますと、まず最初にインプラントの手術に用いられる様々な材料の新規開発による素材の向上により、顎の骨とインプラントとの接合が強固になったこと。次に歯科用のCTの開発が進んだ結果、より正確な画像診断と治療計画の立案が可能になったこと。そして、これら材料と治療に用いる機器が進化したことでよりインプラント治療の術式が標準化されたことであります。しかしながらインプラント治療は誰にでも適応できるものではありません。

 当科の診療においては患者さまのそれぞれの不安や心配に対して問診と術前検査を通じて十分にご理解いただいたうえで、安心して受診していただけるよう配慮しております。また、それぞれの口腔環境を鑑みて義歯やブリッジ、或いは差し歯といった補綴治療と比較して有利な面と不利な面をそれぞれ担当医から十分な説明をお聞きいただいて、他の診療科とも連携して快適な治療を受けていただくよう心がけております。

大阪歯科大学歯学部口腔インプラント学講座 主任教授馬場 俊輔