大阪歯科大学附属病院

ドライアイ外来について

ドライアイとは、涙の量の減少や涙の成分の変化により、角膜が乾燥状態となることにより起こる疾患です。涙には、目をゴミ・ホコリやばい菌・異物から守るほかに、適当な保湿状態を保つことで角膜を守る機能があります。ドライアイは、ストレスや睡眠不足、パソコン等の目の酷使などが原因と考えられていますが、他の病気の影響により発症している場合もあり、適切な診断が必要であります。

ドライアイ患者は日本に800万人以上と推定されています。特に、仕事でパソコンを使用する人の3人に1人、高齢者の約7割はドライアイといわれているくらい頻度の高い疾患ですが、病気としての認識はまだまだ低い疾患です。

症状 目が痛い、目が開けずらい、目が重たい、目がかすむ
治療法 点眼液による治療、手術療法、補助器具の使用
検 査 涙の分泌量の測定、涙液の検査、眼科一般検査
担当科 眼科 本館6階 (TEL)06-6910-1081 
診療日 月曜日、水曜日、金曜日(午前 8:45~11:00) 
料 金 「保険診療」 

ドライアイの症状

ドライアイの症状はさまざまですが、目が乾くという症状は意外に少なく、一番は目が疲れるという症状です。目が疲れて眼科を受診される患者さんの約6割にドライアイが関与していると言われています。不快感、異物感、痒みなどの不定愁訴、視力障害、コンタクトレンズの調子が悪い、夜間に目が開けられない、瞬きが多い、アレルギー性結膜炎が強いなどの訴えがあります。チェックリストの5項目以上に該当すればドライアイの可能性があります。10秒間以上目を開けていられない場合や、瞬きが多く1分間に40回上である場合は、さらに可能性が増します。

ドライアイの原因

ドライアイの原因には、①涙液分泌が減少する場合、②涙液蒸発が亢進する場合があります。さまざまな要因が複雑に関与しています。

涙腺と唾液腺が萎縮する自己免疫疾患のシェーグレン症候群は中高年女性に多い疾患です。向精神薬や降圧剤などの薬物、ストレス、加齢現象も涙液や唾液の分泌を低下させます。

涙液亢進型はドライアイの90%を占め、生活環境の影響が強く、ドライアイが目の生活習慣病や文明病といわれている所以です。パソコンやテレビ見る時、読書をする時は瞬きが少なくなり、涙液の蒸発が亢進します。

アレルギー性結膜炎では、結膜からのムチン分泌が低下するので涙液層が不安定になりドライアイを合併します。

コンタクトレンズ装用者の40%はドライアイと言われています。コンタクトレンズは眼球表面をフタして涙液の交換率を妨げ、あるいはコンタクトレンズの汚れがアレルギー性結膜炎を起こし、ますますドライアイを悪化させます。

上下の瞼の縁にあるマイボーム腺が感染を起こして黄色い脂肪で詰まるマイボーム腺機能異常症を起こすと、涙液層の油層の機能が不完全になり涙液は蒸発しやすくなります。女性ホルモン補充療法を受けている中高年の女性では、よくマイボーム腺機能異常が起こります。

高齢者で下方の結膜が弛緩する結膜弛緩症では、眼球表面の形が不規則なため涙液層が不安定な上に、涙が下瞼からこぼれるのでドライアイになりますが、患者さんは涙目を自覚します。

白内障や近視矯正手術後に、手術結果は良好でも眼の不定愁訴を訴えます。眼科手術後、角膜の知覚は低下し、瞬きも減り、眼球表面の形も変化するので涙層が不安定になり、ドライアイを併発します。

ドライアイ対策

目の違和感、症状を感じたら、まず眼科でドライアイであるかどうか検査を受けてください。

ドライアイは眼の生活習慣病ですので、症状が軽い場合は普段の生活に気を付けるだけで症状が軽減します。パソコンやテレビを見る時、読書をする時は、休憩しながら、意識的にしっかり瞬きしましょう。上を見ると瞼が大きく開き涙は蒸発しやすくなるので、パソコンやテレビのディスプレイはなるべく下に置き、かつ直射日光をさけて照明が反射しないようにしましょう。冷暖房中は、加湿器や濡れタオルで保湿をしましょう。空調の風が直接、目に当たらないように気を付けましょう。飛行機の機内は極端に湿度が低いので、人工涙液の目薬を忘れないことが大切です。コンタクトレンズ装用者は、装用時間を短くし、頻回に人工涙液の目薬を使用しましょう。しかし、防腐剤入りの点眼を乱用するのは危険です。瞼をホットアイパックやお絞りで暖めるとマイボーム腺から脂肪が流出しやすくなるのでドライアイ症状が緩和します。フード付眼鏡をかけると目の周りの湿度を保つことができます。

ドライアイの治療

ドライアイ症状が強い場合は、眼科専門医による治療が必要です。保湿効果のあるヒアルロン酸の目薬を症状に応じて点眼します。症状が強い場合は、ヒアルロン酸の合間に、防腐剤が添加されていない人工涙液の目薬を適宜使用します。朝目覚めた時の眼球表面の乾きを防止するために夜寝る前に少量の眼軟膏を使用することもあります。アレルギー性結膜炎を合併している時は、その治療の目薬も使用します。

点眼療法で改善しない場合は、涙点プラグ挿入術を行います。涙点を塞いで涙液を眼球表面に留める治療です。涙点プラグはシリコン製で、涙点の大きさに合わせ、上下あるいはいずれかに挿入します。

涙点プラグが外れやすい患者さん、涙点プラグで感染した患者さんには、手術で涙点を焼却縫合して閉塞させます。

重症の結膜弛緩症には、手術で余った結膜を切除します。

おわりに

ドライアイもドライマウスも近年、非常に増加しています。それは、生活環境の変化や高齢社会、薬剤の乱用、ストレスが大きな要因になっています。ある意味、生活習慣病、文明病といえるでしょう。ドライアイもドライマウスもQOLの著しい低下はもちろん、放置するとさまざまな病気を起こします。ドライアイ患者さんの多くは自分でドライアイであることに気づいていません。目の疲れ、その他の自覚症状があれば、眼科を受診して正しく診断してもらうことが大切です。

涙の働き

眼球表面の涙の層は、外層から、①油層、②水層、③ムチン層に分けられます。油層は上下の瞼の縁にあるマイボーム腺から分泌され、水層の水分が蒸発するのを防いでいます。涙の大半を占める水層は、上瞼の裏側にある涙腺から分泌され、乾燥防止、殺菌、洗浄、栄養や酸素補給などの働きをします。ムチン層は結膜や角膜から分泌され、水分が眼の表面に密着して広がりやすいようにしています。

瞬きで涙腺から分泌された涙液は眼球表面に広がり、90%は涙小点から涙嚢、鼻涙管を経て鼻の奥に流れて行きます。10%は蒸発します。正常では瞬きをせずに10秒ほど過ぎると眼球表面の涙液層に隙間が生じるので、再び瞬きをして新しい涙液で眼球表面を覆います。