大阪歯科大学附属病院

2023.03.08

睡眠歯科センターチーム 4年連続で学術大会賞を受賞

睡眠歯科センターチーム 学術大会賞を3年連続受賞

2022年11月18~20日、第21回日本睡眠歯科学会学術集会が沖縄県で開催され(対面とオンラインのハイブリッド開催)、本学附属病院睡眠歯科センター(歯学部高齢者歯科学講座)の奥野健太郎講師が54演題の中から「最優秀研究賞」に選ばれました。奥野先生は前回大会でも最優秀原著研究発表賞を受賞しており、2年連続の栄冠。睡眠歯科センターとしても第18回大会からの連続受賞記録を4回に伸ばしました。

奥野先生の今回の受賞研究テーマは「睡眠呼吸イベント後の血圧サージに影響する因子について」。前回の発表は、高血圧の無呼吸患者が口腔内装置(マウスピース)を装着すると、無呼吸だけでなく血圧も改善したという内容でしたが、今度の目的は、そもそも<無呼吸は何故、血圧を上昇させるのか>を生理学的に解明すること。
これまで無呼吸が血圧を上げる原因には、①無呼吸による低酸素説、②苦しくて起きる覚醒反応説、がいわれており、これらに加えて脈拍や、無呼吸・低呼吸(細く息をしている=大きないびきをかいている状態)の持続時間などを原因候補として検討。呼吸が苦しい現象(イベント)を無呼吸と低呼吸、二つの状態に分けて、計1,000回のイベント一つひとつの原因を分析した結果、無呼吸では無呼吸持続時間が、低呼吸では覚醒反応が血圧上昇に関わっていることが分かりました。

今回の受賞について、「大阪歯科大学睡眠歯科センターは、表彰を受けるに相応しい研究力を継続できていると思っています」と奥野先生。マウスピース治療の可能性については次のように語っています。「マウスピースは、医科で使われるCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)と比べると無呼吸への効果は低いが、装着継続率は高いとされている。無呼吸をゼロにできずとも持続時間を短くしたり、低呼吸があっても覚醒するほど苦しくない状態にできれば、マウスピースは血圧治療に十分効果を発揮する可能性がある」

そして「将来的に、循環器クリニックで高血圧があって無呼吸も合併している場合は、血圧治療として歯科クリニックでマウスピース治療をする、といった流れができれば、多くの高血圧患者を救えて、最終的には高血圧の先にある心血管疾患の予防につながることが期待できる」とも。
「今後高齢化が一段と加速し、心不全パンデミックの到来が懸念される日本において、歯科は口腔内装置治療により貢献できると思います」。仕事が目白押しで一日24時間では足りないという奥野先生ですが、そのまなざしはしっかりと医療の未来を見据えています。

  • ◆2022年◆第21回日本睡眠歯科学会学術集会 最優秀研究賞
    奥野健太郎:睡眠呼吸イベント後の血圧サージに影響する因子について
  • ◆2021年◆第20回日本睡眠歯科学会学術集会 菊池賞(最優秀原著研究発表賞)
    奥野健太郎:口腔内装置治療の夜間血圧サージに対する効果
  • ◆2020年◆第19回日本睡眠歯科学会 研究奨励賞
    眞砂彩子:クラスター分析を用いた閉塞性睡眠時無呼吸患者の臨床像に関する検討
  • ◆2019年◆第18回日本睡眠歯科学会 優秀発表賞
    小渕隆一郎:大阪歯科大学附属病院睡眠歯科外来における口腔内装置の使用継続率に関する臨床的検討

ー過去の記事ー

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