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大阪歯科大学

東洋医学を学び、より広い視野で歯科医療を理解する

現在、全国の歯科大学あるいは歯学部において、独立した歯科東洋医学室があるのは2校だけで、そのうちの一つが本学です。歯科領域における東洋医学は、医科領域と同様に、代替医療、審美、美容など多くの分野で相互に関連しており、今後、疾病予防や生活の質の向上においても果たす役割は大きいと考えられます。本学では、学生に「歯科と東洋医学」を学習する目的の認識と、学習意欲を高める工夫を行い、講義を中心とする受動型学習だけではなく、学生自らが積極的に東洋医学の知識を修得できる教育環境を整え、体験型学習方法も取り入れています。幅広い素養を身につけた歯科医師を養成するために、東洋医学の歴史、概念、診断法、現代生活習慣病の予防と東洋医学の養生健康増進法、東洋医学の4つの健康法(食事・漢方薬・鍼灸・気功)を理解し、さらに歯科領域における鍼灸療法と漢方薬療法を学習していきます。ポイントとしては、歯科・口腔領域における近代歯科医学(西洋医学)と伝統的口腔観(東洋医学)の違い、口腔(部分)と全身(全体)の関係を理解することに重点をおいています。

研究室のメンバーMEMBER

教授/方 一如

学生へのメッセージMESSAGE

私の夢は、東洋医学の伝統と歯科領域における発展を通じて、日本国民の健康に貢献することです。この夢の実現として、私の“気・血・水”を本講座に捧げ、全力を尽くしてまいります。 日本の学生のみなさんに「歯科と東洋医学」の授業を受けていただけることを本当に嬉しく思っています。東洋医学の知識を用いることで、歯科領域におけるみなさんの活躍の場がますます広がることを期待しています。

研究活動

  1. 大阪歯科大学における「歯科と東洋医学」の学習効果について

    「歯科と東洋医学」の目的は、東洋医学の知織を体得し基本的な能力を身につけることであり、東洋医学の歴史、概念、診断法、現代生活習慣病の予防と東洋医学の養生法、健康増進法、東洋医学の健康法、歯科領域における鍼灸療法と漢方薬療法などを総合的に学んでいきます。学習効果を高めるための施策として、まず学生に歯科東洋医学の学習の必要性を理解してもらい、講義にスライドを用いる視聴覚学習、講義前の口頭試問や講義の最後に小テストを行うなど、知識や技術の吸収と定着を図っています。また、鍼灸実習などの体験型学習の導入や、「学生の時間(Student time)」を設けるなど、自発的な学習の促進も行っています。平成24年度の講義前・後のアンケートでは、学生は受講前から東洋医学に興味を持っており、前述したような講義の工夫により、多くの学生が「歯科と東洋医学」を受講したことに満足していることが明らかとなりました。また、東洋医学教育を行うことで、従来の歯科医学教育への理解がさらに深まり、全体の学習効果がより高まるという相乗効果が示されました。

  2. アンチエイジング健康美容鍼灸

    「ストレス社会」や「高齢社会」といわれる現代、多くの人が「癒されたい」「健康で若々しくありたい」という願望を持つようになりました。ただ長生きする、ということではなく、健康で美しく、より高い生活の質を追求する現代人の心理を反映して、世界的にも自然志向、健康志向の傾向が高まり、「健康に基づく自然美=健美」という概念が幅広い年齢層に浸透しています。そんな中、本来治療目的で行われていた鍼灸の分野にも「美」が取り入れられるようになり、現在、鍼灸術を用いた美顔、痩身法や脱毛症などに対する美容へのアプローチが行われ始めました。健康美容鍼灸は現代人が求める「健美」をもたらす効果的な方法として注目を集めており、その可能性と今後の展開について、実践を通じて研究していきます。

  3. 歯科心身症に対する東洋医学領域の研究

    歯科心身症とは、その発症や経過に心理社会的要因(心理因や環境因など)が密接に関与した口腔領域の器質的ないし機能的な身体疾患や身体愁訴、あるいは歯科治療に関連して発症する心身の不快症状のことで、その診断・治療を行う上で心身両面からの対処がより適切と考えられる病態のことをいいます。中国では歯科心身症に対してさまざまな優れた有効治療法が確立されています。中国および日本の東洋医学において、歯科心身症に対する漢方と鍼灸の治療情報資料を収集・考察し、両国共通の最も有効な治療方法を見出すことを目的として研究を進めています。