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大阪歯科大学

安心・安全の最良な医療を、患者様一人ひとりへ

約30年前、本学附属病院に口腔インプラント治療を取り入れて以来、専門知識、技術、そして心を持った精鋭のドクター陣が、患者様のより質の高い治療ゴールを達成するために日々全力を注ぎ、その真髄を長年脈々と受け継いでまいりました。
20世紀後半からスタートした比較的新しい分野である口腔インプラント治療は、世界的にみても歯科界に新しい時代をもたらしました。その進歩と発展は目覚ましく、患者様のクオリティーオブライフの飛躍的な向上に貢献しています。その一方、高度な外科手術を伴い、包括的な補綴技術も要求され、かつ高額医療であることから、社会においてはまだいろいろな課題も抱えています。

また、iPS細胞など、自身の失われた組織を再生し機能を回復する再生医療に社会の関心が高まってきました。その臨床応用にも大きな期待が寄せられ、当講座においても歯科における再生医療の研究に力を注いでいます。
このような社会背景の中、本講座は、大学としての教育・臨床・研究の最前線であることを認識し、診療の現場で安心・安全の最良な医療を一人ひとりの患者様に合わせて提供できる臨床家の育成、さらに社会に役立つような医療機器・医療技術の新規開発、そして研究家を輩出していきます。

口腔インプラント科ホームページ

研究室のメンバーMEMBER

教授/馬場 俊輔
教授/草野 薫
  • 准教授/森永健三
  • 講師/原朋也、寺西祐輝
  • 助教/吉川豪、上住隆仁、上住卓
  • 大学院生/浅野晃久、今井英貴、金子尚樹、祁 業鈞、阪口竜一、瀬尾仁志、堀良彦、森本哲弘、桑野夏州久、谷口善三郎、馬庭望、山田理人、若田陽、大森寛之、小林寛貴、硲 雄麻、前田洋二郎、松川和生、大坂栄樹、竹内祐輔、武政賢洋、長澤正典、西田耕介、本田壮一郎、溝畑友基、柳内裕朝

学生へのメッセージMESSAGE

平成27年2月に、関西で初めての口腔インプラント学講座として発足しました。社会のニーズに応えるべく、そして教育・研究・医療機関の大学としての責任をはたすべくスタートを切りましたが、スタッフや医局員も皆若く、これから伸びていくまさに未来のある講座です。このように活気に満ちた雰囲気の中で、元気で力強いインプラント学講座を築いていこうと思っています。私たちと一緒に頑張ってくれる方は大歓迎です。皆様の御参加をぜひお待ちしています!

研究活動

口腔インプラント学講座では、再生医療および医療疫学を主として研究しており、将来の臨床現場で役立つようなインプラント治療や細胞治療を含む歯科領域全般に展開できる医療機器・医療技術の新規開発を担える人材を育成します。

  1. 口腔組織由来iPS細胞の分化誘導について

    近年、欠損補綴や顎顔面補綴において、インプラント治療による形態と機能の回復がなされています。その治療経過を大きく左右される要素として、喪失した骨や軟組織をいかにインプラント治療に適した環境に改善するかという点が存在しています。しかし、現在の骨補填材ではその改善には限界があり、今後は細胞を用いた再生医療による安全で確実な骨増生が望まれています。また、細胞を用いたその再生医療を行うには、再生組織をあらかじめ工業的に大量生産して利用時にいつでも使用可能にする必要があり、培養系を用いたin vitro組織再生による治療が望まれています。このような状況の中で、山中らは2007年ヒトの線維芽細胞にごく少数の遺伝子を導入することによって多能性幹細胞であるiPS細胞を樹立しました。iPS細胞は従来の間葉系幹細胞と比較して無限に増殖する長所を有しており、顎顔面補綴のような大きな欠損を治療するには適しています。無限に増殖するiPS細胞による細胞移植治療が顎骨の再生を促進すれば、顎顔面補綴治療のような大欠損部への治療に新たな選択肢を提供することになり、本課題には大きな意義があり、また歯科再生医療において魅力的なセルソースとなります。しかし、iPS細胞樹立時の初期化にウイルスを用いることは、高い初期化効率を得られますが、同時に予期しない遺伝子の挿入変異がおこり、癌遺伝子の再活性化が生じる可能性があります。そこで我々は、癌遺伝子の非再活性化を目指し、ヒト口腔粘膜にウイルスフリーでのiPS細胞の樹立することに成功しました。得られた細胞株は増殖性、多能性においてES細胞と同様の能力を有した細胞であることが示唆されました。遺伝子の挿入変異の影響が少ないウイルスフリーのiPS細胞は今後の歯科再生医療において重要なツールとなりえます。

    口腔組織由来iPS細胞の分化誘導について

  2. 新規骨再生材料開発に関する研究

    幹細胞及び幹細胞からの分化誘導により分化形質を獲得した細胞の機能発現に適した足場を用いた再生医療の臨床はまだ存在しません。それに加え、移植部位に要求される力学的特性を充足した足場に関しては、基礎研究においてもほとんど報告が無いというのが現状です。特に、歯槽骨量が不足した上顎サイナスリフトを必要とした患者のインプラント体に負荷される咬合力にも対応できる骨再生細胞治療の開発には国内・国外ともに報告されていません。また、吸収した歯槽骨に対するインプラント埋入は困難ですが、歯槽骨を増生することでその問題点が解決されるような材料の新規開発を目指します。具体的には、血小板凝集能を利用した人工コラーゲン/リン酸三カルシウム(TCP)複合スポンジによる骨および血管再生材料、合成高分子であるポリL乳酸(PLLA)からなる三次元構造を持った織物のスキャホールド、発泡多孔層を有するポリエーテルエーテルケトン体による非吸収性骨補填材料、ヘパリンを固定化させたリン酸カルシウム系骨補填材等を開発しているので、それらについてトランスセクショナルリサーチから臨床応用を目指し、様々な角度から検討しています。

    新規骨再生材料開発に関する研究

  3. 臨床疫学研究

    科学技術の台頭により欧米では医学のパラダイムシフトが起こり、90年代末には臨床試験により得られる科学的技術に基づく医療(Evidence-based Medicine; EBM)が臨床における臨床家のための新たな科学主義を象徴する結果となりました。さらに、臨床試験の根拠よりもさらに広い概念として医療技術の「価値」が議論されるようになり、価値に基づく医療(Value-based Medicine; VBM)の必要性への認識が確立されました。「価値に基づく」医療へのアプローチは、臨床研究、医療政策、ヘルスケアビジネスを一変させると言われます。これまでわが国では、基礎研究(入口)から始まり、医療技術の実用化(出口)までの過程において、入口と出口をつなぐtranslational研究が十分でないとされてきました。「価値に基づく」医療へのアプローチは、費用対効果→財政上の影響→ガイドラインへの推奨→実臨床への導入に至るまで、技術の「価値」とリスクの評価を重要視します。この一連の検証を行う上において、不可欠なのが臨床疫学研究です。しかしながら、歯科領域とりわけ口腔インプラント学において、本分野の十分な成果が得られていないのが現状であります。そこで、当講座では集団的な概念や集団データに基づいた疫学研究を推進していきます。