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大阪歯科大学

細菌叢から見る全身の健康

 自然界に生息している肉眼的にみることのできない微小な生物を総称して微生物microorganismといいます。微生物には、細菌、ウイルス、真菌、原虫が含まれます。ヒトに約1014個存在すると言われている常在細菌叢は、免疫系を適度に刺激して、免疫の成熟を促進させることで、外来からの微生物の侵入や増殖を阻止しています。
 細菌学講座では、このような常在細菌叢に加え、ヒトや動物に感染症を引き起こす病原微生物一般について学びます。微生物が引き起こす感染症の発症メカニズムについて、感染症学と免疫学の両面から学び、病原微生物の感染防御としての免疫およびアレルギー機構については、細胞分子レベルで解説していくことで、随時学生の理解度と照らし合わせながら講義を展開していきます。
 歯科特有の感染症である齲蝕と歯周病という細菌感染症についても、理解を高めることを授業目標としています。近年、口腔細菌および歯周病細菌と関連した全身疾患や全身感染症について報告されていますが、その発症メカニズムについても詳しく講義していくことで、口腔から全身の健康状態を理解できる医療人の育成に取り組んでいきます。 
 また、基礎知識に応じて、自己学習や相互学習により問題を解決できる方法と能力を養うことを目指します。歯科医師として知っておかねばならぬ感染症の知識を学生自らが学ぶということを重要視しているので、一方向型の講義とは異なる教育手法をもって臨んでいきます。
病原微生物を取扱う以上、きっちりとした指導を行っていきますが、常に学生に開放された研究室です。講義、実習、学生研究を通じて、大いに微生物学を学び、いつでも研究室を訪れてください。

研究室のメンバーMEMBER

教授/沖永 敏則
  • 講師/真下 千穂、南部 隆之
  • 助教/円山 由郷

学生へのメッセージMESSAGE

健康に大きな役割を果たしている微生物。
今、微生物が注目されています。
微生物を通してヒトの健康長寿に貢献する、そんな研究をしてみませんか。
とても明るく開放的な講座です。皆さんの来研、待っています。

研究活動

■口腔感染症として、齲蝕と歯周病があげられます。しかし、現在では、口腔細菌が全身疾患や感染症におよぼす影響について様々な研究が展開されています。我々はhost-parasite relationship(宿主寄生体関係)の観点から、細菌感染に対する宿主の炎症応答として、サイトカイン産生を伴った細胞死であるピロトーシスについて注目し、分子生物学的手法を用いて検証しています。そして、ピロトーシスを誘導する細菌の病原因子について、細菌遺伝工学的手法により検証していきます。(研究リーダー:沖永敏則)


■従来、口腔常在菌に関する研究においては、齲蝕原細菌と歯周病原細菌といった、いわゆる「悪玉菌」を追及してきた研究が主でした。しかし、口腔には、全身の健康をサポートする「口腔善玉菌」の存在が提唱されています。我々は、口腔善玉菌がどのように口腔健康に寄与しているのか遺伝子レベルで明らかにすることを目的として研究展開しています。(研究リーダー:真下千穂)

口腔細菌叢と全身健康状態の関係性を提唱するために、我々は口腔細菌叢を変化させる未知の分子の探索や、生活習慣、環境条件が誘導する細菌叢変動のメカニズムについて研究展開をしています。さらに、口腔細菌叢のなかで病原性細菌である歯周病菌については、口腔硝酸還元菌にフォーカスを当て、新たな殺菌メカニズムを提案するような研究を行っています。(研究リーダー:南部隆之)

真核生物・細菌(バクテリア)と並ぶ第三の生物と呼ばれる「古細菌(アーキア)」を知っていますか?アーキアは核を持たない原核生物ですが、細菌とは系統がはっきりと異なることが分かっています。アーキアは元来、100℃近くや飽和塩濃度でも生育できる「極限環境微生物」と考えられていましたが、近年では人体にも存在していることが知られるようになりました。現在では、歯周病巣から検出されるなど、疾患との関りが注目されています。我々は、アーキアの染色体構造や遺伝子発現の調節機構に興味をもって研究展開をしています。(研究リーダー:円山由郷)