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大阪歯科大学

公開講座・特別講座を開催しました

皆さんは「mRNA(マーナ)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 本学は11月5日、楠葉キャンパスで『あなたの病気のリスクをマーナ(mRNA)検査で早期発見!』と題した公開講座・特別講座を開催しました。講座では、一般社団法人 臨床ゲノム医療学会(理事長・渥美和彦 東大名誉教授)の後援を受け、遺伝子やゲノム研究の分野で活躍されている6名の先生方が講演を行いました。今回のように市民の皆さまと歯科医師、医師、コメディカルの方々が一堂に会する公開講座は、本学にとって初めての試みで、東京や四国など遠方からお越しの方もあり、聴講者数は258名に上りました。

講演では、mRNA・ゲノム・遺伝子・DNAの違いなどについて分かりやすい説明がありました。人体を建物に例え、DNAは建物の設計図、mRNAは設計図の一部を小さくコピーしたものであること、mRNAはDNAからの必要な情報をタンパク質の製造工場へ運ぶ役割を担っており、mRNAが間違った情報を運ぶと、タンパク質が傷ついてがんなどを発症するリスクが高まることなどのほか、DNA は生涯変わらない遺伝的情報であるのに対し、mRNAは生活環境などで随時変化する生体情報であり、mRNA検査はリアルタイムに体内の情報を見ることができるということです。今や「自分をどこまで把握できるか」という領域は、体質のみならず「現在の体内の状態、現在どのような病気リスクを持っているのか」にまで及んでいるそうです。

このほか、少量の唾液でたばこによるがんリスクがわかることや、長寿遺伝子「サーチュイン」のスイッチをONにするポイント、ヒトは何歳まで生きられるのか、mRNA検査をどのように歯科医院に導入するか——といった興味深い講演が続きました。一般の方には少し難しい内容のお話もあったかもしれませんが、来場された方の中にはメモを取ったり、時折うなずいたりする姿が見られ、先生方のユーモアを散りばめた語り口に、会場から笑い声がもれる時もありました。 講座終了後には、ゲノムドクター認証試験を実施し、(一般の方を含む)50名の方が受験されました。
本学では今後も公開講座を通して、市民の皆さまの健康で豊かな暮らしの実現に貢献してまいります。

講演された先生方(敬称略)

♦講演1 
「タバコのがんリスクをゲノム検査で調べる」大阪歯科大学大学院歯学研究科 井戸垣 潤
♦講演2
「遺伝子解析ってどんなことに使えるの?」大阪歯科大学中央歯学研究所 准教授 本田 義知
♦講演3
「がん発生環境のリスクを予測し、健常者の未病状態を見える化するマーナ(mRNA)検査」臨床ゲノム医療学会 専務理事 山崎 都央
♦講演4
「mRNA検査と医療の将来像」国際医療福祉大学医療福祉学部 医療福祉・マネジメント学科 筒井 久美子
♦講演5
「あなたの“死に様”予測します~町医者でゲノム・ドック~」同志社大学生命医科学部 客員教授 松本 浩彦
♦講演6
「歯科から始まる病気になりにくい身体づくり」医療法人福翔会 福森歯科 理事長 福森 暁

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