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大阪歯科大学

2024 年5 月24 日(金)に開催された第67 回春季日本歯周病学会学術大会(ビッグパレットふくしま)において「歯周組織再生医学優秀発表賞(JSP Outstanding Presentation Award for Periodontal Regenerative Medicine)」の受賞者が発表され、本学医療イノベーション研究推進機構(TRIMI) 先進医療研究センターの岩﨑剣吾准教授が受賞されました。
本賞は歯周病学会学術大会において発表された歯周組織再生に関する研究の中から優れた研究を表彰する賞で、2023年5月に科研製薬のスポンサーシップのもとに設立。今回が初の表彰となりました。

今回受賞となった岩﨑准教授の研究発表の演題名は「間葉系幹細胞由来タンパク抽出物による新規歯周組織再生治療」です。本研究は大阪歯科大学歯学部歯周病学講座の彭一豪先生、田口洋一郎先生、梅田誠教授、東京医科歯科大学・石川烈教授との共同研究として実施され、2023年10月に開催された第66回秋季日本歯周病学会学術大会においてポスター発表されました。

歯周病が進行すると歯を支える組織が減少することによって歯が機能を失ってしまいます。この失われた歯を支える組織を新たに作り出す歯周組織再生治療が注目されていますが、特に幹細胞を使った細胞治療に期待が寄せられています。しかし、幹細胞を患者さんに直接移植する再生治療には安全性の面でハードルが残されています。岩崎准教授らの実験グループは、細胞培養した幹細胞からタンパク質抽出物を作製し、細胞の代わりにこの抽出物を移植したところ、歯を支える組織が再生することを明らかとしました。そして、この幹細胞抽出物に含まれる内容物や、歯を支える組織の細胞へどのような作用を持つのかについて詳細な実験を行い、その作用メカニズムの一面についても解明しました。今回の研究結果は、幹細胞を使った歯周病に対する新しい再生治療法の可能性を示すものと考えることができます。

今回の受賞について岩﨑准教授は「失われた歯周組織の再生は非常に難しいことですが、どのようにしたら組織が再生するのかについて一つずつ明らかにしてゆくことによって将来的な治療法の開発へつなげていきたい」と、本受賞が今後の研究の新たな原動力となったことを語っています。

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