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大阪歯科大学

2024年10月17-18日にベトナム・ハノイ市で開催された第15回Asian Pacific Society of Periodontology Meeting(アジア太平洋歯周病学会)において、「E-Poster Competition」が行われ、本学医療イノベーション研究推進機構(TRIMI)先進医療研究センターの岩﨑剣吾准教授が基礎研究分野で“First Prize”を受賞しました。

本賞は、同学会で発表された100以上のポスター演題の中から基礎研究と臨床研究の各10件が選出され、さらに発表・質疑応答による審査を経て1位から3位の発表者に授与されるものです。
今回受賞となった岩﨑准教授の研究発表の演題名は「Differentiation of iPS cells into Periodontal Ligament Stem Cells and Their Potential for Periodontal Tissue Regeneration」(iPS細胞の歯根膜幹細胞への分化と歯周組織再生の可能性)です。本研究は本学・歯科理工学講座の呉玙璠先生、橋本典也教授、並びに東京医科歯科大学の石川烈名誉教授との共同研究として実施されました。

歯周病治療の新たな再生療法として、歯根膜から培養される歯根膜幹細胞の移植が研究されていますが、歯根膜幹細胞を得るには患者さんの歯を抜歯する必要があり、適用が難しい場合もあります。岩﨑准教授らは、あらゆる組織へ分化する能力を持つiPS細胞に着目し、歯根膜細胞の分泌因子を用いて分化誘導を行うことで、iPS細胞が歯根膜幹細胞と類似した細胞へ分化することを見出しました。分化誘導した細胞は遺伝子やタンパク質の発現パターンにおいて歯根膜幹細胞と一致し、また動物実験へ移植すると歯周組織が顕著に再生されました。これらの結果はiPS細胞を用いた新たな歯周組織再生療法の可能性を示すものと考えられます。

受賞にあたり、岩﨑准教授は「iPS細胞は再生治療において大きな期待が寄せられている細胞です。今後もこの細胞を用いた歯科治療の実現に向けて研究を推進したい」と、将来の新治療法開発に向けた意欲を語っています。

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