CLOSE

大阪歯科大学

2月17日と24日の2日間、第25回大阪歯科大学公開講座 枚方講座(健康医療都市ひらかたコンソーシアム連携事業)を、本学楠葉キャンパス講堂で開催しました。

『お口は健康・長寿の入口』をメインテーマに、17日は藤田保健衛生大学医学部歯科・口腔外科教室の松尾浩一郎教授が『あなたの口は健康ですか?-口から全身の健康へ-』と題し講演されました。松尾先生は口の機能と栄養、加齢の関係などについて解説。歯垢の中には1mgあたり1億もの細菌があり、放置すると全身の感染症の原因となることや、先生が診療された、何十年も歯科を受診されていない患者さんの義歯の写真が映されると、会場からはどよめきが起こりました。また、残存歯数は栄養不良の状態や嚥下と関連があることをエビデンスをもとに説明されたほか、ご自身が蕎麦やカレーを食べる様子を内視鏡で撮影した動画を紹介した際には、珍しい嚥下の様子に、聴講者の皆さんは興味深そうに見入っていました。
松尾先生はこのほか『フレイル』や『サルコペニア』などの用語やメカニズム、予防のポイントを丁寧に解説され、最後には舌口唇運動機能低下を知ることができる運動(「ぱ・た・か」の連続発音のいずれかが5秒間に30回未満)を紹介。会場の皆さんも一緒に挑戦しました。

24日は本学歯学部内科学講座の澤井宏文准教授が『歯周病と全身疾患の関係~歯周病を治療すると糖尿病が治る?~』と題し、国民病とも言われる歯周病と全身疾患(特に糖尿病)の関係について解説しました。先生は『糖尿病になると歯周病になりやすい』という説は本当かどうか、そしてその根拠は何か、ということを、エビデンスベースドメディシン(EBM)やエビデンスレベルをもとに、用語の説明を織り交ぜながら解説していきました。例えば『歯周病治療によってHbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)が改善するか?』という疑問には、エビデンスレベルではほぼ確実であり、歯周病を治療すると糖尿病の改善が期待できる(治るとまでは言えない)と話しました。また、歯周病に限らず口腔衛生状態が悪いと誤嚥性肺炎になりやすいこと、歯周病からの全身疾患にかからないために大切なことなどを話しました。最後には、来場者の皆さんから多くの質問をいただきました。

講座終了後には、2日間続けて受講いただいた皆さんに修了証をお渡ししました。
今回は福井や和歌山など遠方からお越しの方もあり、2日間合わせて延べ437名の方に受講いただきました。会場からは笑いや驚きの声が上がり、メモを取る方も多く見られ、アンケートでは「おいしい、好きなものを食べることは命のもと。口の中を大切にしたいと思いました」「知らないことが多く、丁寧な質の高い講義で、大変勉強になりました」など、主催者にとって大変喜ばしいご感想をいただきました。今後もより一層、内容の充実に取り組んでまいります。

大阪歯科大学理事長・学長

関連記事