CLOSE

大阪歯科大学

本学医療保健学部の濱島淑惠教授が5月13日、NHK総合テレビの『クローズアップ現代』(22時00分~30分)にリモートで生出演しました。特集テーマは「ヤングケアラー いま大人がすべきこと」。この中で、濱島先生は、国が4月に公表した全国調査により、あらためて顕在化したヤングケアラー(家族の介護を担う18歳未満の子ども)の問題について解説しました。

番組では、ヤングケアラー支援の先進地イギリスの取り組みを紹介。濱島先生は英国に学ぶ三つのポイントとして①法制化②支援メニューの充実③当事者の運動—を提示しました。ちなみにイギリスは、濱島先生が「ヤングケアラー」という言葉に初めて出会った国です。

では、日本がヤングケアラーの問題に向き合っていくために今後何が必要か。これについて、濱島先生は「ヤングケアラーに関わる問題は子どもの人権に関わる事柄であり、子どもの問題ではあるが、それだけではない。その背後にある大人の問題に注意を払う必要がある。高齢者福祉、障がい者福祉、貧困、社会的孤立、社会的排除—こうしたさまざまな問題が絡んでおり、これらが解決されない中で、そのしわ寄せが子どもたちにいっている。ヤングケアラーたちはさまざまな困難を抱えることがあるということです」と指摘したうえで、次のように述べました。
「そういう意味で、ヤングケアラーの支援には児童福祉や教育というところだけでなく、さまざまな領域にまたがった包括的な支援が必要になってくる。その意味で、国には包括的な支援のビジョンを示していただきたいし、またそれを法制化し、予算化していくという取り組みを期待したい」

さらに、ヤングケアラーが生きやすい社会の姿について「一番大事なのは理解。ヤングケアラーたちがケア経験によって得た価値と、さまざまな負担・困難。その両方を理解している人々がたくさんこの社会にいるということ。それが暮らしやすい社会をつくるための第一歩になるのではないか」と話しました。

最後に、ヤングケアラーたちにどんな言葉をかけてあげればよいか、というキャスターの問いに濱島先生はこう答えました。「大変さはあるかもしれないけれど、あなたたちには価値がある。大変さと価値—その両方をみながら一緒に考えていこう」

※この番組は、5/20(木)午後10:30まで見逃し配信でご覧になれます。

関連記事