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大阪歯科大学

全国の歯学部学生が研究成果やプレゼンテーション能力を競う令和4年度の「スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラム(SCRP)日本代表選抜大会」(主催:公益社団法人日本歯科医師会)において、大阪歯科大学歯学部5年の木畑佑基きばた ゆうきさんが準優勝に輝き、11月15日、表彰楯授与式を天満橋キャンパスで行いました。
コロナ禍のため昨年同様ウェブ開催となった今大会には、前回と同数の21大学が参加。研究発表抄録・発表スライド・発表ビデオによる一次審査通過者6人が8月26日、英語でのオンライン発表・質疑応答による二次審査に臨み、30日に同会ホームページ上で最終結果が公表されました。
この大会(1995年から開催)での本学の準優勝受賞は昨年に続いて2年連続、上位入賞は3年連続7回目。

「分子動力学法を利用して脂質二重膜上で成長するハイドロキシアパタイトナノ結晶を制御する」。この受賞研究の中で、木畑さんは、医療への応用的価値は高いものの、表面状態を制御して製造する技術は発展途上にあるハイドロキシアパタイトのナノサイズ結晶(nano-HAp)に着目。分子動力学法というコンピュータシュミレーションによって、脂質分子DPPCの二重膜上にnano-HApのa面とc面を吸着させ、その吸着性の違いを原子レベルで解析しました。その結果、nano-HApの脂質二重膜上での成長を制御するための条件を明らかにしたのです。

歯学と物理学の融合。この独創的な研究は、木畑さんの確たる思いから生まれました。兵庫県立大学理学部を卒業後、「開業医の父を手伝えたら」という気持ちで本学に入学した木畑さん。「歯学部でも何か物理が注目を集めることはないかと思っていました」
3年次の授業科目“研究チャレンジ”では、迷わず物理学教室の扉を叩きますが、佐藤衆一助教(この研究のファカルティー・アドバイザー)の最初の返事は「研究テーマを用意していないので、ほかの先生のところへ行ってください」。これにめげず木畑さんは再度、同教室を訪問。木畑さんの熱意が佐藤先生を動かし、辻林徹教授も加わり、3人でテーマの設定から取り組みました。
“研究チャレンジ”は第3学年の前期で終了ですが、木畑さんは「何等かの成果を出して終わりたい」と5年生まで研究を継続。SCRP準優勝という形で木畑さんの努力が結実しました。

式では、川添堯彬理事長・学長が木畑さんに表彰楯を贈呈し、日本歯科医師会長のお祝いビデオメッセージが上映されました。川添理事長・学長は木畑さんの健闘を讃えるとともに、「物理学教室に研究指導の協力を得て上位入賞したことも大いに意義あること」と述べ、関係者を労いました。
今回の結果について、「惜しかったなぁ」とは佐藤先生の弁。「木畑君の本番の発表自体は渾身の出来だったので、ちょっと期待している部分もあって……」。これを聞いた木畑さんは「それだけ期待してくださっていて非常に嬉しく思います。メジャーな内容じゃなかった分、評価がどうなるかなと思っていました」。師弟二人の異なる感想も微笑ましい、表彰式でのひとこまでした。

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