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大阪歯科大学

2023年7月8~9日、第36回日本顎関節学会総会・学術大会が東京ビックサイトで開催され、大阪歯科大学大学院歯学研究科3年の山根まことさん(解剖学専攻)が「ポスター発表優秀賞」を受賞しました。

64演題の中から優秀賞に選ばれた山根さんの研究テーマは「超音波ガイド下によるご献体を用いた顎関節の上・下関節腔への選択的穿刺せんし法の確立」。歯学部解剖学講座の上村守主任教授の指導の下、口腔外科学第一講座の井関富雄主任教授、吉田博昭講師との共同研究で実施されました。

顎関節治療の一つに、炎症がひどい場合に点滴注射で関節の中を洗浄する「関節腔内洗浄療法」がありますが、この治療法は従来、合併症の可能性のため、熟練した口腔外科医が上関節腔に穿刺するのが主で、その狭さから下関節腔への穿刺はほとんど行われていません。そこで山根さんは、ご献体を用いて、超音波ガイド下による上・下関節腔への選択的穿刺法を確立すべく検討。超音波ガイドに従い上・下関節腔に造影剤を注入した結果、CT検査により、関節腔に確実に注入されていることを確認。超音波装置を用いることで、上・下関節腔への選択的穿刺法を確立するとともに、下関節腔への穿刺がチェアサイドで応用できる可能性を示唆しました。

今回の受賞について、「やってきて良かった」と山根さん。「上村教授はじめ解剖学講座のメンバーのアドバイスのおかげで、研究をまとめ発表することができた」と各先生の惜しみない協力に改めて感謝していました。

大阪市内で鍼灸接骨院を開業する社会人大学院生の山根さんは、学生時代に世界自転車一人旅の途上、ある日本人医師と出逢ったことがきっかけで医療の道を志すように。その後、進学した柔道整復師養成学校の授業(東北大学での実習体験)を機に解剖学に開眼。「解剖学を通して臨床にどうフィードバックしたら良いか。臨床家なりに考え実践していきたい」との思いから、本学歯学研究科解剖学の門を叩きました。

ちょっとでも患者さんを治せるように。ちょっとでも(接骨院の)スタッフの勉強になるように。世の中にちょっとでも役立てるように——この三つをいつも岳父の墓前にお願いしているという山根さん。「解剖学の研究を患者さんの治療につなげたい」。ぶれない・折れない・動じない太い骨が一本、山根さんの身体を貫いています。

顎関節症で悩みや困り事がありましたら、一度、本学附属病院「顎関節外来」で受診してみませんか。

まずはお気軽に医事課地域医療連携室 06-6910-1537までお電話ください。

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