
9月28日(土)・29日(日)、本学楠葉キャンパスにて「歯科医師のためのカダバー・サージカル・トレーニング 〜安全なインプラント外科・歯周外科を目指して〜 」が開催されました。大阪歯科大学CST委員会公認のこの研修会は、本学歯学部解剖学講座が主催し、JIPI(Japanese Institute of Periodontology & Implantology)および大阪歯科大学黄菊会の後援により実施されました。
*CST(カダバー・サージカル・トレーニング)とは、医師・歯科医師による、献体を用いた手術手技の研修のこと。厚生労働省主導のもと全国的な普及への取り組みが進められています。
研修会の特徴
この研修会のユニークな特徴は、事前にご遺体のCTを撮影し、口腔内や顎関節の画像診断を行った後、実際の解剖や観察を通じてインプラント埋入やサイナスフロアエレベーションの実習を行う点にあります。臨床と同じ条件下で診断や治療の予測を行い、実際の手術技術を安全に習得することが可能です。
特に顎関節に関する解剖では、顎偏位や変形した下顎頭・下顎窩・関節円板を観察し、デジタル機器を駆使してその構造を理解することを目的としています。「black box」とも呼ばれる顎関節の究極の可視化を目指すことが、この研修の重要な目的でもあります。
研修の進行
1日目は、表情筋や唾液腺、顎関節の観察が行われました。特に顎関節に関しては、ノギスを用いた実測やCT・IOSを用いたスキャン結果を比較し、正確な診断方法についての検証が行われました。
2日目は、インプラント治療における解剖学的注意点の解説が行われた後、実際の解剖学実習として、インプラント埋入やサイナスフロアエレベーションが行われました。実習中もCT撮影が行われ、講師陣から直接フィードバックを受けられることもあり、参加者からは、インプラントの埋入技術や骨補填材の使用法について多くの質問が寄せられました。
研修の締めくくりには、解剖学講座の上村守教授から「学問に年齢制限はなく、常に学び続けることが重要である」というメッセージが受講生に送られました。
参加者とご遺体の提供
今回の研修には、歯科医師39名(講師・サポートメンバーを含む)、歯科衛生士11名、歯学部生22名、歯科衛生士学校生2名、その他専門職5名、協賛企業・取材者5名の総勢84名が参加しました。使用されたご遺体は、自ら献体を申し出た献体者のご厚意によるもので、大阪歯科大学黄菊会に登録されたものです。
今後の予定
次回のカダバー・サージカル・トレーニングは、2025年9月27日(土)・28日(日)に同会場で開催予定です。詳細は後日発表されますので、興味のある方はご期待ください。
なお、今回の研修は、クインテッセンス出版Webサイトの記事でも取り上げられていますので、ぜひご覧ください。

