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大阪歯科大学

EPISODE005

海外4校で得た多くの友人と経験。矯正中の患者さまが笑顔でいられる治療を目指して

2017.11.27 歯学部 / 6年
穴田 理嵯
留学先:上海交通大学口腔医学院、シドニー大学、四川大学華西口腔医学院、コロンビア大学

PAST

1これまで

父の言葉に押され飛び込んだ歯科の世界

穏やかな表情でお話ししてくれたのは、歯学部6年生の穴田理嵯さん。落ち着いた雰囲気ながら小さな頃は外で虫取りをするのが好きで、活発で元気な、男の子のような性格だったそうです。お父様が歯科医師ということに影響を受け、高校生の時には理系を選択。将来は医療関係に進み、薬剤師になろうかとも思っていたそうです。高校3年生になり進路を決める時、お父様に言われた言葉が穴田さんを歯科の道へ進ませました。「歯学部は歯だけではなく、体全体のことを勉強する。理嵯が興味のある薬のことも学べるほど幅広いから、行ってみたら絶対に興味を持つと思うよ」。

大阪歯科大学を選んだ理由は、入学前に見た本学のパンフレットに『海外留学』が大きく紹介されていたからです。海外への憧れは、昔からありました。「日本で暮らしていて、ふと海外のニュースを聞いた時、現実味が全くなかった。これは行ってみないとわからないなとずっと思っていて、現場を生で見て肌で感じてみたいと思っていました」。大学に入ってからは、やりたいことは積極的にしようと決めていたといい、海外に行く夢を目指しESS部に入部。英会話の勉強に力を入れます。臨床の勉強が始まる3年生の時に行けば、海外でその現場を見ることができると聞き、3年時から応募することに決めました。「大阪歯科大学は留学先が豊富で、有名大学が多い。これも入学して良かった点です」。

そして2~3年生のころ、海外の雑誌で『インビザライン』という矯正方法があることを知りました。アメリカでとても流行していると書いてあり、コロンビア大学に行った際には、絶対に聞いてみようと思いました。

PRESENT

2

海外にも、同じ夢を持つ仲間がいる

穴田さんは6年間の間に、海外4大学(上海交通大学、シドニー大学、四川大学、コロンビア大学)での研修に参加しました。本学での学びや研修を通して「人の歯にすごく目が行くようになった」といいます。「歯は顔の中心部にあります。人の顔を見た時、その印象を決めるのが口や歯並び。歯は人柄を表す一部になっています。歯科医は、誰もが気にする『見た目』の力になれる職業だと思います」。歯は見た目に大きな影響を与えるという考えは『歯科矯正』への興味に繋がりました。「歯並びが美しくなると、笑顔になれる患者さまがたくさんいる。コロンビア大学の研修でも、なぜ日本人はあまり口元を気にしないのか、と言われました。アメリカでは幼少期から歯を矯正する方が多く、きれいな歯並びが自信にも繋がっていると言われています。その話にとても共感しました」。コロンビア大学では、インビザラインのソフトを使って治療をされている審美歯科専門の先生と話ができました。「日本にはそういうソフトや技術は普及していないし、世の中の人にあまり認識されていない。もっと日本に新しい技術が入ってきたらいいなと思って、インビザラインに興味がわいた」といいます。「今は針金をつけて、見た目で矯正していると分かるものがほとんど。その点インビザラインは透明で分かりにくい。友達が矯正しているのを見ていたら、せっかくきれいにしようとしているのに、治療のために見た目を我慢しなければいけない——『見た目をきれいにする』という矯正の過程で、『見た目にストレスを感じる』患者さまが多い。そこでどうしていくかを考えた時、インビザラインのような矯正法だと、ストレスは少ないのではと思いました」。

海外の大学では、それぞれの特長があり、学びも多かったそうです。人口の多い中国の上海交通大学は、4大学の中で最も患者数が多く、症例も多かったといい、いろいろな疾患が見たいならおすすめ。シドニーでは学生同士の仲が良く、マレーシアやカナダ、シンガポールなどからも多く学びに来ており、学生交流が盛んといいます。四川大学のサマーキャンプには、アメリカやオランダ、中国など各国の大学から学生が集まります。2週間もの間、最終日に行うコンペティションに向けて実技を学びます。研修で海外の学生から学んだことはたくさんあります。臨床実習中の学生たちは、みんな患者さまに声をかけながら、明るく対応していました。治療中も堂々としており「私は歯科医になるんだ」という思いが態度に表れていたといいます。「私もそういうふうになりたい」。目指す歯科医師の姿を思い描くことができました。

「海外には、行ける機会があったら行ったほうがいい。行ったら行っただけ、理解が深まるし、海外の友人が増えます」。穴田さんもそれぞれの海外研修で出会った友人と、今でも連絡を取りあっているそうです。「誕生日おめでとうとメッセージをくれたり、将来は何科に進みたいの?と聞かれて、矯正に興味があると話すと『私も矯正に興味があるから、その話をしようよ』と言ってくれたり。行かないと、そういう繋がりはできない」。

FUTURE

3これから

夢は、歯を通して患者さまに笑顔になってもらうこと

5年生の臨床実習時、ドイツ人の患者さまが担当医の先生に何かを伝えようとしているところに出会いました。英語だったため先生にはあまり伝わっていない様子で、患者さまは不安そう。遠くから見ていた穴田さんは「私、話せるかも」と感じ、患者さまのお話を書き取りながら聞き、先生に通訳しました。話を聞いた先生は「OK!」と納得し、患者さまもほっとした様子だったそうです。「もし海外に行ってなかったら、自信がなくて見ているだけだったかもしれません」。見ているだけではなく、英語で治療の話ができるようになった、と感じた瞬間でした。

「入学した時は、歯科が全身に携わるなんて実感が湧きませんでした」と話す穴田さん。「今は、麻酔、外科、内科などあらゆる分野を勉強した後なので、父が言っていた通りだなと思います」。お父様の言葉に押されて飛び込んだ歯科の世界。大学の先生から学生時代の勉強は、歯科医師として必要な勉強の数%だと言われました。歯科の世界はまだまだ深く、卒業して歯科医になってからも勉強だと思っています。「今は基礎固め。ここでの数%の頑張りは必ず将来に繋がると思っているので、今、頑張りたい。将来は、私が治療した患者さまが私をずっと覚えていてくれるような歯科医になること。笑う時はどんな人も絶対に笑顔になるので、矯正中の患者さまが堂々と笑顔でいられるような治療をしたいです」と話す穴田さんの表情は落ち着いていて、その目はしっかりと、目指すべき姿を見据えていました。

PROFILE

2017.11.27 歯学部 / 6年
穴田 理嵯