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大阪歯科大学

EPISODE006

より多くの学生に、海外に出て広い世界を見てほしい

国際交流部長
岡崎 定司欠損歯列補綴咬合学講座 主任教授

PAST

1これまで

飛んでいく入れ歯を見て歯科に興味を持った

欠損歯列補綴咬合学(ほてつこうごうがく)講座の岡崎定司先生は、大阪府池田市出身。自然豊かな場所で育ち、虫を追いかけ、近所の小川で魚を釣るなど、自然に親しむことが好きな少年でした。お父様は歯科医師で、診療所の裏が自宅だったそうです。「昔はおおらかだったから診療所への扉が開いていることもあって、そこから父が診療しているのが見えたので、よく見ていた」といい、「向こうで白衣着てなんかやってるなあと見ていたら、患者さんに褒められたり、トラブルもあったり。父は短気だから、こんな入れ歯入れられへん!アカーン!っていう声がして、頭の上を入れ歯が飛んで行ったり」。飛んでいく入れ歯を見ながら、「ピンク色で本物みたいな歯が付いてる…入れ歯ってこんなもんなのか」と子どもながらに興味を持っていたそうです。

その後、大阪歯科大学、同大学院へと進みます。卒業後も研究を続けている時、論文を発表する機会が訪れました。所属していた講座では当時、ほとんどの人が国内誌に発表しており、国際誌にはあまり投稿していませんでした。「僕は国内じゃ面白くない、世界の人に読んでもらいたいなと思って、英語で論文を書き、イギリスの雑誌に投稿しました。最初は書き方なんか分からないから、見よう見まねで——英語論文をたくさん読んで、こういう書き方をしたらいいんだなとか」。どこか海外に行きたいという夢は、以前からあったといいます。「それだったらちょっと格好つけないとなっていうのと、研究をやっている人の『外国の名の通った雑誌に論文を出したい』という思いは、モチベーションの一つになるんです」。その後、たまたま同じような研究をしている教授を見つけて「1年間勉強させてください」と手紙を書き、イギリスとアメリカの大学に送ってみると、イギリスの方から早速「いいですよ」と丁寧な返事が来ました。「イギリスはアフタヌーンティがあって、紅茶がおいしいかなとか、僕はラグビーとゴルフをやっていたので、本場を体験したいなと思って」と笑う岡崎先生は、39歳の時、イギリスのウェールズ大学(現カーディフ大学)に飛び立ちました。

PRESENT

2

海外留学は行ったら行ったで悩みも出てくるけれど

「海外は行ったら行ったで、いろんなことがあります。腹が立つこともあるし、楽しいこともある。留学生は留学生なりに、いろんな悩みを抱えています」と話す岡崎先生。ご自身は、留学中に悩みはあったのでしょうか?「英語を聞き取るのが大変でした。初めは何を言っているのか全然わからなかった」。というのも、大学があるウェールズ地方は方言がきつく、なまりの強い人が多かったそうです。「自分の英会話力が不安だったので、留学する前に英会話教室に通ったんだけれど、難しかった」と振り返ります。それでも留学中は楽しいことが多く、欧米はもちろん、アフリカ、アジアなどさまざまな国・人種の友人ができ、交流の輪が広がりました。「臨床(患者さまを診療すること)ではなく実験や研究が目的なので、周りはわりとホンワカしている。学生や大学院生なんかは、朝は早いけどティーブレイクを挟みながら短時間に集中してやるという感じ」。友人と他愛ない話をしたり、研究について議論したりと、ウェールズでしかできない経験を重ね、充実した時間を過ごしました。

帰国して英会話教室の先生にお会いした時、「とりあえず言い換えてでも、何か他の単語を使いながら話そうとされているように感じます」と言われたそうです。「留学してから、この単語が出てこないから会話が成り立たないではなく、これを使って伝えよう、というようになっていたんですかね」。
現在、本学で国際交流部長として活躍されている岡崎先生。海外の大学と交渉を行うほか、本学の学生が海外研修に参加する時はもちろん、海外の提携校から学生が訪れた際にも附属病院の案内など接遇に努めておられます。「留学では、『言わないと伝わらない』ということを学びました。あとは、『行動を示す』ということ。交渉とかそういう時は、労を惜しまず、ちゃんと会って、face to faceでやること」。

FUTURE

3これから

プロであること、人間を好きでいること

多くの学生にも海外留学を経験し、広い視野を持ってほしいと考えておられる岡崎先生は、海外の留学生ももっと受け入れたいし、提携校も増やしていきたいといいます。「本学では現在、一年間に20人ほどの学生が海外に行っているけれど、もう少しいろいろな大学と提携を結び、幅広く行ってもらいたい。外の世界を見てみるのも楽しいと知ってほしい」と話します。「今まで交流を続けている大学とは、これまでの歴史を大切に、おろそかにせず、より緊密に。大学と大学の友情は、個人と個人の友情と同じく、深いほうが楽しいですから」。

先生に歯科の魅力をお聞きしてみると、「よく言われるのは、『食べる』という、人間の普遍的なものの一番大切なところを担うから。歯を見せて笑う顔はチャーミングだし。でもまあ僕は、『これはこれで、楽しいから』かな」と、チャーミングな笑顔で答えてくださいました。
岡崎先生が考える『歯科医療人』とは、どんな人なのでしょう。「お金を頂いているプロフェッショナルであり、プロであることは自分の技術を磨くこと。それが患者さんの幸せとイコールになります。しんどいけれど、そこは頑張らないとね。その分野のプロフェッショナルであることが、一番大事なこと。あとは、人間を好きでいること」。人が好きで、プロである自覚と矜持を持ち、技術を磨き続けることの大切さを知る先生は最後に、静かにエールを送ってくださいました。「自分に責任を持って、患者さんの幸せのために、頑張ってください」。

PROFILE

国際交流部長
岡崎 定司

欠損歯列補綴咬合学講座 主任教授