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大阪歯科大学

EPISODE004

歯科医の選択肢は幅広く、自分はどこへでも行けると気づかせてくれた海外研修

2017.11.28 歯学部 / 6年
赤松 佑莉奈
留学先:中国の南方医科大学、四川大学、コロンビア大学

PAST

1これまで

歯科医師を志すきっかけは、お父様からの一通の手紙

歯学部6年生の赤松佑莉奈さんが歯科の道を志したきっかけは、歯科医師であるお父様からの手紙でした。「幼いころから開業医として働く父を見てきたので、こんなふうに人を助ける仕事がしたいなとずっと思っていて、医療系の職種を考えていました」。当時は医科に興味があり、医学部進学を考えていたといいます。高校生になり、あることでつまずき、その時にお父様からお手紙をもらいました。「歯科医師はこんな特長や良い面があるんだよ」ということが書かれており、「父からそんな手紙をもらったのは、後にも先にも一回だけ」と笑いながら話す赤松さんは、当時その手紙を読み、「歯科医師になろう、そして父の跡を継ごう」と決意しました。

負けず嫌いでチャレンジ精神にあふれた性格の赤松さん。「なんでもやってみたいなと思うんです」と話し、4年生の時に中国の南方医科大学での研修に参加しました。「少し不安はあったけれど、せっかくのチャンス。こういう機会に行ってみよう」と決めました。さらにお父様が口腔外科で研修医をされていたことや、3年生から始まった分野で一番興味を引かれていたこともあり、海外の歯科医療、特に口腔外科について知りたかったそうです。

PRESENT

2

自分に足りないものに気づかされた海外研修

初めて参加した海外研修では、大きなショックを受けました。「現地の学生たちは本当に英語が上手で、ボキャブラリーが豊富で、衝撃でした。行く前は、自分はもう少し英会話ができると思っていましたが、実際には理解はできても自分の言いたいことが話せないという状況だったんです。同い年の彼らに対して、私は足りないものがたくさんあると気づかされました」。

その後、四川大学、コロンビア大学への研修に参加。思うように話せなかった南方医科大学での悔しい思いをバネに、英語の勉強に力を入れました。「スマホにTOEIC用のアプリを入れて、ずっとリスニングしていました。TOEICも受験したんですが、まだまだ自分の納得いく点数を取れてないので、この先もっと上を目指して頑張りたいです」。一番勉強になるのは自分で英語を使うこと、という赤松さん。南方医科大学で出会った友人とは、ずっと英語で連絡を取り合っているそう。海外の方と接する時に大切なことは、何よりも積極性だといいます。「1回目の海外研修は、不安な気持ちが強かった。でも不安に思っても何も始まらなかったし、自分からアクションを起こすと、向こうも話しかけてくれたり、友達になろうよと言ってくれたり」。

研修先の大学はどこもキャンパスが広くきれいで、熱心に学ぶ学生ばかりでした。学生の話を聞いたり患者さまと接したりした上で、各国の医療制度の違いに、考えさせられたといいます。「アメリカは自費診療なので、専門医だと高くなるなど、歯科医師のランクによって治療の値段が変わるんです。歯一本にかける金額が高い分、かける時間も日本とは違います。コロンビア大学では5年生から学生のみで診療を行うんですが、学生の診療だと治療費は無料。私は学生の間にたくさん臨床経験を積みたかったので、羨ましいなと思いました」。一つの治療でも、医療制度に差があるだけでこんなに違うのかと実感したといいます。「アメリカでは患者さまが医師を選択できるし、医師は取る資格などによってどんどん自分を高めていくことができます」。

FUTURE

3これから

もしつまずいても、道はたくさんあると知った

海外研修を通して、将来を考える時に選択の幅が広がったと話す赤松さん。「研修では、いろいろな道があると知りました。今のところ研究のことは考えていないけれど、魅力的に感じたし、大学院に行くなら国の留学システムに応募して海外に行ってみたいなとか」。行く前は考えていなかったけれど、今は「もし自分が、将来いつかつまずいた時、まだ考える道がたくさんある」と思えるようになりました。

卒後臨床研修では、口腔外科を選ぶつもりです。「医科系のこともしてみたいけど歯科系のこともしたいという人に、一番向いているのが口腔外科だと感じています」。口腔がんの手術や神経の縫合、整形外科と協力して移植を行うなど、その領域は幅広く、全身疾患の知識も必要。学ぶことは多いけれど、魅力を感じています。「将来は一般歯科をするにしても、例えば口の中のがんなどを自分で一目見て分かるようになりたいんです。将来、開業医になってからも活かせる知識を、口腔外科で身に付けたい」。

開業医として地域医療に携わるお父様の背中を見て育った赤松さん。それは、自身が目指す歯科医師の姿に重なります。「地域医療となると、一人ひとりが日常的に抱えていることを全部受けとめないといけない。その上で、どんな患者さまが来られても親身になって対応し、信頼関係を築いていける歯科医師になりたい」。その言葉には、選択と挑戦を重ねながら、前に向かっていく強さがありました。

PROFILE

2017.11.28 歯学部 / 6年
赤松 佑莉奈