教育目標
医療保健学研究科口腔科学専攻博士課程(後期)が目標とする歯科医療の発展に貢献できる優れた素養と指導力を持つ人材の養成を達成するために、次の教育目標を掲げ、これらの目標のために、教育方針を定め、教育課程を編成しました。
- 口腔保健学や口腔工学に関する研究指導力を養成する。
- 独創的な研究を立案・実施できる能力を養成する。
- 歯科衛生士や歯科技工士の教育・研究における管理者としての能力を養成する。
- 口腔保健学や口腔工学に関する教育者や研究者としての広い視野を養成する。
教育課程
カリキュラム・ポリシーに基づき、次の3つの科目群にカリキュラムを分類し、体系的に教育を行います。
⑴ 共通科目 全ての学生が共通して受講する科目で、自立して研究を実施できるとともに研究指導者や管理者としての能力を養成する科目
⑵ 専門科目 研究指導を実践して、指導力を養成するとともに研究能力を高める実習科目
⑶ 専門研究科目 独創的な研究を自身で立案し実行する科目で、大学院医療保健学研究科口腔科学専攻(修士課程)よりも高度で専門性の高い研究を行うことを目標とする実習科目
科目一覧
科目区分 | 科目名 | 配当年次 | 単位数 |
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共通科目 | 医療保健開発論 | 1年前期 | 1 |
医療保健労働衛生論 | 1年前期 | 1 | |
医療保健人材管理学 | 1年前期 | 1 | |
医療保健組織運営論 | 1年前期 | 2 | |
口腔科学研究特論 | 1年前期 | 1 | |
口腔科学研究指導論 | 1年前期 | 1 | |
専門科目 | 口腔科学研究指導実習 | 1年前期~3年後期 | 1 |
専門研究科目 | 口腔科学高度専門研究 | 1年前期~3年後期 | 8 |
科目の概要
科目区分 | 科目名 | 概要 |
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共通科目 | 医療保健開発論 | 研究開発能力や産学連携能力を養成する科目である。口腔科学において優れた研究を実践するには、多くの開発を成し遂げてきた研究機関の状況を知り、広い視野を持ち、独創的な発想ができるとともに、他機関と協力して研究を遂行する能力が必要である。この科目では、口腔科学に関連する企業での学修と学生間の討議によって多角的な研究開発能力を身に付ける。 |
医療保健労働衛生論 |
病院、診療所などの医療機関では電磁波や放射線、各種薬剤や医療機器など、人体に影響を及ぼす可能性があるものを日常的に用い、医療スタッフ、患者双方ともに常に感染の危険にさらされている。一方、長時間労働、人材不足、事業所の環境、設備の不備などといった問題も医療業界全体に横たわっている。
医療スタッフには、これら労働災害につながる恐れのあるものに対する知識はもちろん、高い危機管理能力が求められることから、本科目では基本的な労働衛生に関する制度や法などについて学修するとともに、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた第14次労働災害防止計画にも触れ、現在労働衛生で考えていかねばならない諸問題について理解を深める。
最終回には各自の事業所等における労働衛生の課題について、まとめ発表と討議を行う。
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医療保健人材管理学 | 組織では多様な人材、多様な部署が共通の目標に向かって動く。特に医療機関ではさまざまな資格を有するスタッフが協働し、一人ひとりの患者に向き合う。その際、スタッフ個々の専門性のみならずチームが持つ能力を遺憾なく発揮し、組織の理念、目標を達成できることが望ましい。本科目ではその中心的要素である人材の確保、人材育成及び活用等、人的資源管理に必要な知識・技術等について学修するとともに、キャリア開発についても理解を深める。 | |
医療保健組織運営論 | 組織では多様な人材、多様な部署が共通の目標に向かって動く。特に医療機関ではさまざまな資格を有するスタッフが協働し、一人ひとりの患者に向き合う。その際、スタッフ個々の専門性のみならずチームが持つ能力を遺憾なく発揮し、組織の理念、目標を達成できることが望ましい。強い組織を作るための基礎を知り、また組織を効果的に動かすために、組織の構造及び機能、リーダーシップ論、意思決定、リスク管理などといった医療機関も含めた組織の運営に必要な知識や理論について学修する。 | |
口腔科学研究特論 | 口腔科学における研究内容を理解し、興味がある課題だけではなく、研究者としての広い視野を養成する科目である。医療保健基礎学分野、医療保健教育学分野、医療保健政策学分野、口腔機能回復学分野、先進口腔保健学分野、口腔材料学分野及び先進口腔工学分野の7つの研究分野の研究の現状を理解し、口腔科学における研究のあり方を考え、自己の研究への参考とする。 | |
口腔科学研究指導論 | 研究指導に関する知識を獲得し、口腔科学における研究の指導的役割が担える技量を養成する科目である。研究経験がほとんどない学生に対しての研究課題や研究計画に対する立案指導要領や研究補助や助言のあり方を学修するとともに、歯科医学や口腔科学において研究を指導してきた教員が経験してきた実践的経験から知識を得て、指導における留意点や心理的側面について学修する。 |
専門科目 | 口腔科学研究指導実習 |
修士課程もしくは博士課程(後期)の大学院学生の研究に協力し、助言することで、実践的な研究指導能力を養成する科目である。修士課程もしくは博士課程(後期)の大学院学生の研究の立案に対して、主指導教員と副指導教員の指導のもとで、助言を行うとともに、大学院学生と適切なコミュニケーションを取りながら研究を補助・指導し、主指導教員と副指導教員と協調して、学会発表と論文作成に対する助言を行い、研究指導者としての実践力を身に付ける。
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専門研究科目 | 口腔科学高度専門研究 | 選択した研究領域の内容に基づいて、独創的な発想による研究課題を見つけ、研究を実践し博士論文を作成する科目である。研究指導教員と十分討議の上で、必要な修正を加えたうえで、研究を遂行する。そして、データを収集し、分析、考察を行って、学会発表し博士論文としてまとめる科目である。研究に当たっては、研究経過を主指導教員と副指導教員に報告し、助言を求めるとともに必要に応じて指導を受ける。研究施設・設備として、必要に応じて楠葉学舎、医療イノベーション研究推進機構(TRIMI)及び附属病院が利用可能である。更に、所定の手続きを踏むことで、学外施設を利用することもできる。 |
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研究領域
次の3つの領域から1つの領域を選択して研究を行います。
領域名 | 概要 |
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口腔医療領域 | 大学院医療保健学研究科口腔科学専攻(修士課程)で口腔保健における疫学や基礎歯科医学を学修して探求する「医療保健基礎学分野」、歯科医療に関する大学学部学生教育について学修して探求する「医療保健教育学分野」及び歯科医療を中心として医療、保健及び福祉を学修して歯科医療保健制度について検討する「医療保健政策学分野」の研究内容を含めた研究を行う。口腔科学を歯科衛生士が関係する口腔保健学あるいは歯科技工士が関係する口腔工学にこだわらず、多角的な研究を行う。 |
口腔保健領域 | 口腔機能低下と対応を学修し、多職種連携を含めた口腔機能回復について検討する「口腔機能回復学分野」と新しい歯科治療や口腔機能管理を学修し、歯科衛生士による口腔衛生管理を検討する「先進口腔保健学分野」の研究内容を含めた研究を行う。 |
口腔工学領域 | 新たな歯科材料について学修し、歯科材料の加工法や応用法について検討する「口腔材料学分野」と歯科技工における新しい生体材料や技術を学修し、口腔装置の歯科技工方法を検討する「先進口腔工学分野」の研究内容を含めた研究を行う。 |
担当教員及び研究概要
研究分野 | 職名 | 氏名※1 メールアドレス※2 |
研究概要 |
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口腔医療領域 |
教授 | じん こういちろう 神 光一郎 jin-k |
1.歯科保健医療に求められる地域住民のニーズと歯科衛生士の視点によるロジック 2.歯科衛生士の需要と供給の現状と将来推計予測 3.行政の場で求められる歯科衛生士の役割と多職種協働 4.高齢者の口腔内有訴状況と通院行動を阻害する要因分析 5.口腔の健康状態に影響を与える社会経済的要因分析 6.学齢期における口腔崩壊の現状と家庭環境を取り巻く要因との関連性 |
教授 | なかつか みちこ 中塚 美智子 naka-m |
1.歯科医療従事者に対するキャリア教育における実践的研究 2.歯科医療系大学生に対するキャリア教育における実践的研究 |
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准教授 | やまなか たけし 山中 武志 yamanaka |
1.口腔常在細菌叢が全身免疫に与える影響 2.口腔管理が常在細菌叢構成に及ぼす影響 3.口腔粘膜における抗原認識機構の解明 4.口腔バイオフィルム形成メカニズムの解明 |
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講師 | しゅとう たかひろ 首藤 崇裕 shuto |
1.インプラント周囲炎のメカニズムの解明 2.表面改質による新規インプラント体の開発 3.フッ化物製剤がチタン表面に与える影響 |
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助教 | まえそま あゆこ 前岨 亜優子 ayuko |
1.効果的な教育教材の検討 2.効果的な授業デザインの検討 |
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助教 | たけわ けいこ 武輪 敬心 takewa-k |
1.10代で出産した女性のライフコースの研究 2.マイノリティのエンパワメントに関する研究 3.支援者・被支援者の協同的関係性の構築に関する研究 |
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口腔保健領域 |
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教授 | かきもと かずとし 柿本 和俊 kakimoto |
1.口腔健康管理へのデジタル技術の応用 2.効率的義歯清掃法の開発 3.口腔健康が全身に与える影響 4.要介護高齢者の口腔健康管理 5.効果的な歯科衛生士教育方法の検討 |
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教授 | いとだ まさたか 糸田 昌隆 itoda |
1.口腔機能管理が全身に与える影響の検討 2.地域高齢者の健康長寿に向けた効果的介入サービス法の開発 3.医科歯科連携における歯科医療職の在り方に関する研究 4.口腔機能障害の発生機序による分類と対応法の開発研究 5.栄養・代謝不活性による口腔への影響に係わる研究 6.摂食・咀嚼・嚥下機能が全身におよぼす影響の研究 7.口腔リハビリテーションの効果的手法の確立に向けた研究 |
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教授 | しまだ あきこ 島田 明子 shimada-a |
1.口腔機能低下症に対する標準化された口腔リハビリテーション処方の構築 2.口腔顔面痛に対する運動療法の効果 3.睡眠時ブラキシズムに関する臨床研究 4.習慣的な洗口が口唇閉鎖力に及ぼす影響 5.訪問診療のための顎口腔機能評価デバイスの開発 |
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准教授 | おがた ちずこ 緒方 智壽子 ogata-c |
1.口腔の健康に及ぼす影響因子 2.防災下における無水歯ブラシの開発 3.歯肉形態の3次元的観察装置の開発 |
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講師 | かじ くみこ 梶 貢三子 kaji-ku |
1.多職種連携による口腔健康管理における歯科衛生士の役割 2.多職種協働による口腔機能改善における歯科衛生士の役割 |
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助教 | おおもり あかね 大森 あかね omori-a |
1.インプラント治療患者における口腔機能回復と口腔健康管理 2.高齢患者の口腔機能と主観的満足度の検討 3.歯科衛生士が行う口腔健康管理が全身に与える影響 |
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助教 | たに あきな 谷 亜希奈 tani-a |
1.歯科保健指導における口腔内スキャナーの応用 2.歯科衛生士教育における口腔内スキャナー実習の有用性 3.市販の義歯洗浄剤と超音波洗浄器の除菌効果の検討 4.新規インプラント材料の開発 |
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口腔工学領域 | |||
教授 | はしもと まさのり 橋本 正則 hashimoto |
1.歯科材料の物性及び接着性評価 2.歯科材料及び生体材料の機能評価 3.歯科材料及び生体材料の抗菌性・生体安全性評価 4.歯科材料及び生体材料の微視的形態観察 |
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教授 | ふじい たかまさ 藤井 孝政 taka-f |
1.高分子材料の物性および接着性の評価 2.低温大気圧プラズマ処理による歯科材料の接着性の評価 3.低温大気圧プラズマによる汚染物質の除去 |
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准教授 | こまさ さとし 小正 聡 komasa-s |
1.表面改質および親水性処理を施した新規インプラント材料の開発 2.アパタイト薄膜を利用したTooth wearに対する新規治療法の開発 3.新規ゲルおよびエクソソームを利用した骨補填材の開発 4.防災時における無水義歯用ブラシの開発 |
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講師 | にしきおり りょう 錦織 良 nishikiori |
1.歯科用材料・生体材料が口腔内組織に与える影響の評価 2.新規消毒剤が歯科材料・生体材料の表面粗さや強度に与える影響の評価 3.再生医療に用いる細胞材料の安全性評価のためのディバイス開発 4.細胞間相互作用を in vitro で再現できるディバイスの開発 |
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講師 | みやけ あきこ 三宅 晃子 miyake-a |
1.歯科材料表面を模倣したバイオセンサの開発 2.歯科補綴装置における汚れの付着機構について 3.新規義歯清掃方法の開発 |
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講師 | ふじた さとし 藤田 暁 fujita-s |
1.歯科技工士養成課程に関する教育効果の開発および検討 2.デジタル機器を用いた教育効果について |
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助教 | ひぐち しずお 樋口 鎮央 higuchi-s |
1.各種スキャナーと加工機の加工精度に与える影響 2.各種スキャナーと積層造形機の造形精度に与える影響 3.CADデザインソフトの開発 4.積層造形による模型材の再現性に与える影響 5.積層造形のサポート付与方法による造形精度に与える影響 |
※1 氏名に二重下線を記載した教員は、2025年度に学生を募集しません。
※2 メールアドレスは、後ろに「@cc.osaka-dent.ac.jp」を付してください。