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大阪歯科大学

歯学部3年・井藤竜大さんがアリガタバチの新種発見、英文誌に論文

先頃、歯学部3年の井藤竜大さんがアリガタバチの新種を発見し、論文が英文誌に掲載されました。井藤さんは高校時代からアリガタバチを中心とした昆虫の研究を始め、すでに和文短報を含め10本以上の論文を物していますが、新種の発見に加え、査読付き英文誌での発表は今回が初めて。

井藤 竜大さん(歯学部3年)

論文のタイトルは「A new species of Odontepyris (Hymenoptera: Bethylidae: Bethylinae) from East Asia」。この3月の「Journal of Insect Biodiversity」に掲載されました。今回井藤さんが発見したのは、ワシバナアリガタバチ属の1種。高校3年の夏に母校の奈良学園敷地内で採集したもので、捕虫網に入った瞬間「今まで見たことがない」と分かったそうです。その後、独自に調べを進めるうちに新種の確信が強まり、昆虫学の専門家である九州大学の三田敏治先生に連絡。大学の研究室へ伺ったり、オンラインで指導を受けるなどして、英語論文を書き上げました(三田先生は同論文の共著者)。
Odontepyris costatus(オドンテピリス・コスタータス)——井藤さんが命名した新種は、全長僅か4.3mm。頭部と胸部に特徴があり、「表面構造がカッコイイ」とは井藤さんの弁。「虫好きにとってロマンある発見で、やっぱり嬉しかった」と笑顔で振り返りました。

物心つく前から昆虫好きという井藤さん。中高生の頃、大阪市立自然史博物館のジュニア自然史クラブで自然に親しんだ経験が、現在の昆虫研究につながっています。当時は、病気で通学が大変なときもありましたが、「博物館の方に調査に連れて行ってもらい、打ち込めるものをつくってもらったことが心の支えになりました」。論文も学芸員の方に勧められ、教授していただいて書き始めるように。

今や昆虫研究はライフワークと語る井藤さんが取り組むのが、アリガタバチの分類学。外見がよく似ていて今まで十分識別されてこなかった仲間の分類に挑戦し、彼らの学名を整理することを目標としています。「特にアリガタバチの仲間は、蛾や甲虫など農業害虫に寄生するので、害虫の抑制に役立てることもできる。種類を分類し、ちゃんと名前を付けることによって、益虫として利用する研究につながれば」と抱負を話してくれました。

今年度の授業科目「研究チャレンジ」では解剖学を選択し、井藤さんは今あらためて研究のイロハから学習しています。形態を観るという共通点がある解剖学と分類学。本学での学びによって、井藤さんの研究への志がますます磨かれんことを。

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