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大阪歯科大学

令和3年度日本歯科医師会スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラム(SCRP)日本代表選抜大会において、本学歯学部3年の栗山実久さんが準優勝を果たし、10月27日、表彰楯授与式が楠葉キャンパスで行われました。この大会での本学の上位入賞は2年連続6回目で、準優勝受賞は初めて(優勝:岡山大4年生)。

※ SCRPは、国際歯科研究学会米国部会・歯科医師会等が主催する、歯科学生によるグローバルな研究発表大会。日本大会は1995年度から開かれ、全国の歯科大学・歯学部の学生が研究成果やプレゼンテーション能力を競う。

新型コロナウイルスの影響で昨年に続きウェブ開催となった今大会には、前回より3校多い21大学が参加。研究発表抄録・発表ビデオ・発表スライドによる一次審査通過者4名が8月20日、英語でのオンライン発表・質疑応答による二次審査に臨み、24日、同会ホームページ上で最終結果が公表されました。

栗山さんの受賞研究テーマは「高齢者の口腔ケアのための過酢酸を含む新しい歯科用消毒剤の開発」。誤嚥性肺炎を誘発しない高粘性・高殺菌性・高安全性の口腔ケア材料は、介護現場に変革をもたらす材料になりうるとして、新規口腔ケア材料の創製を目指すというものです。過酢酸(PA)とセルロースナノファイバー(CNF)の混合物を試作し、材料評価、殺菌実験、細胞毒性評価を行い、最適混合条件を予備的に検討。その結果、PAとCNFを最適混合させたPA-CNFスラリーは、高粘性を具備しつつ、高殺菌性・安全性・審美性を担保した新規口腔ケア材料候補となる可能性が示唆されたと結論付けました。

授業を機に今回初めて本格的な研究にチャレンジした栗山さん。当初は別のテーマを設定していましたが、途中で行き詰まり方向転換。中央歯学研究所の本田義知准教授(現・口腔解剖学講座教授)らの助言もあり、同じ材料を用いる本研究—高齢者の口腔ケア—に新たに着手しました。データの収集やスライド作りは大変でしたが、本田先生以下“チーム栗山”(口腔保健学科・橋本正則教授、欠損歯列補綴咬合学講座・張泓灝助教、中央歯学研究所・神田龍平助教)の手厚いサポートを受け、研究を遂行。最終審査では得意の英語で堂々とプレゼンテーションしました。

式では、川添堯彬理事長・学長から栗山さんに表彰楯が授与され、日本歯科医師会長のビデオメッセージが流されました。川添理事長・学長は、この受賞は本学にとって大いに誇らしいだけでなく、後輩の励みにもなると述べたうえで、栗山さんの日々の努力が実を結んだことを祝し「あなたの将来にとって今回のことは必ず力になると確信している」と激励しました。
チーム栗山のメンバーからも改めて祝福の声が寄せられ、ファカルティーアドバイザーの本田先生は「コロナ禍で大変だったにもかかわらず、よく頑張りました。このまま続けて、いろいろなことを頑張ってください」。また英語教室の藤田淳一准教授は英語で栗山さんを讃えました。"You did a very good job and we are all proud of you."

「低学年で研究に取り組むこと自体、本当にチャレンジだった。これからも怖じ気ず、いろんなことにチャレンジしていけば、いろんな世界というか、景色が見られるのではないかと思います」。このたびの研究を振り返り、栗山さんは清やかな表情でこう話しました。SCRPのまたとない経験は、栗山さんの更なる飛翔を約束しているようです。

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