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大阪歯科大学

高齢者歯科学講座 学術大会賞を3年連続受賞

2021年11月27・28日、第20回日本睡眠歯科学会学術集会が北九州市で開催され(対面とオンラインのハイブリッド開催)、本学歯学部高齢者歯科学講座(附属病院睡眠歯科センター)の奥野健太郎講師が「菊池賞」を受賞しました。菊池哲・初代同学会理事長の名を冠したこの賞は、最優秀原著研究発表者に贈られるもので、今大会は口演・ポスターあわせて30演題の中から選ばれました。高齢者歯科学講座(睡眠歯科センター)では、大学院4年(当時)の小渕隆一郎さんが前々回大会で優秀発表賞を、眞砂彩子助教が前回大会で研究奨励賞を獲得しており、今回で3年連続の表彰となります。

奥野先生
奥野健太郎講師

奥野先生の受賞研究テーマは「口腔内装置治療の夜間血圧サージに対する効果」。
国内有数の睡眠時無呼吸症(OSA)の研究者である奥野先生は今回、血圧と無呼吸を同時に測定できるPTT(Pulse Transit time)血圧という新技術を用いて、口腔内装置(マウスピース)治療による夜間血圧サージ(急上昇)への効果を検討。OSAは高血圧の発症リスクになることが分かっていますが、さらに一歩進んで、マウスピース装着により無呼吸が改善し、夜中の血圧も下がることを明らかにしました。すなわち、マウスピースをすることで無呼吸が抑えられ、無呼吸によって起こっていた血圧の上昇が抑えられたのです。

真砂先生
眞砂彩子助教

“今まで分からなかった病気の原因や病態、じつは睡眠中に答えがある” 内科学の名著に記されたこの言葉にひかれて、OSAの研究に専心するようになった奥野先生。「睡眠時無呼吸はさまざまな病気の引き金になっている。その次に起こりうる病気——既に合併して悪化している高血圧とか、糖尿病とか、そういう後ろに潜んでいる怖い病気をコントロールする、治すためにマウスピース治療は非常に大事」といいます。そしてまた、「高血圧の患者さんを多く抱えている、町の循環器内科クリニックの先生には、いびきをかいていて高血圧をコントロールできない患者さんに対して無呼吸の疑いをもって検査し、そののち歯科でマウスピース治療をする——こうした医科から歯科への治療の流れがあることを今回の研究を通じて知ってもらいたい」とも。

小渕先生
小渕隆一郎さん

今回の受賞について、「3年連続は偶然ではない。睡眠歯科センターのチーム力だと思う。小渕先生、眞砂先生の研究が全国的に評価されたことで、本学で行っている研究が通用するという確信をもてた」と振り返った奥野先生。今後の抱負を尋ねると「これからもこの睡眠歯科という新しい分野において先駆者的な役割を本学の睡眠歯科センターが担えれば。それを研究で示していきたい」と力強く話してくれました。
歯科のみならず医療業界全体でのマウスピース治療の普及率向上を目指す奥野先生の研究、診療はこの先も続きます。

  • ◆2021年・第20回日本睡眠歯科学会学術集会 菊池賞(最優秀原著研究発表賞)
    奥野健太郎.口腔内装置治療の夜間血圧サージに対する効果
  • ◆2020年・第19回日本睡眠歯科学会 研究奨励賞
    眞砂彩子.クラスター分析を用いた閉塞性睡眠時無呼吸患者の臨床像に関する検討
  • ◆2019年・第18回日本睡眠歯科学会 優秀発表賞
    小渕隆一郎.大阪歯科大学附属病院睡眠歯科外来における口腔内装置の使用継続率に関する臨床的検討

睡眠中のいびきや無呼吸で悩みや困り事がありましたら、一度、本学附属病院「睡眠歯科センター」で受診してみませんか。
まずはお気軽に医事課地域医療連携室
06-6910-1537
までお電話ください。

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