本学医療保健学部口腔工学科の小正 聡准教授を筆頭著者とする研究論文が、一般社団法人日本歯科理工学会の令和7年度学会論文賞を受賞しました。
受賞論文は、英文誌『Dental Materials Journal』Vol.44, No.3に掲載された「Development of a new self-cleaning denture base material using titanium Apatite(チタンアパタイトを用いた新規セルフクリーニング義歯床材料の開発)」。これは、小正准教授をはじめ、田代悠一郎氏、三宅晃子氏、松本卓己氏、王欣氏、中井真理子氏、佐藤秀明氏(東京都市大学)、橋本典也氏による共同研究として実施されたもので、令和7年度に同学会の和文誌および英文誌に掲載された論文の中から、優秀論文として選出されました。
本研究では、義歯床に広く使用されているポリメチルメタクリレート(PMMA)に、抗菌性を有するチタンアパタイト(TiHA)を配合し、汚れや細菌が付着しにくい新たな義歯床材料の開発に取り組みました。
その結果、TiHAの配合量が増えるにつれて、唾液関連タンパク質の付着量、黄色ブドウ球菌の付着およびバイオフィルム形成が抑制されることが確認されました。一方で、義歯床材料として重要な機械的強度には有意な低下が認められず、細胞毒性についてもTiHAを配合していない材料との差は認められませんでした。
これらの成果から、TiHAを配合したPMMAは、義歯床の強度を維持しながら、タンパク質や細菌の付着を抑制できるセルフクリーニング義歯床材料として有用であることが示されました。今後は、高齢者の義歯性口内炎や誤嚥性肺炎の予防、口腔衛生管理の負担軽減、さらには生活の質の向上に貢献することが期待されます。
超高齢社会の到来とともに、義歯を装着している患者様は増加の一途をたどっている現状を踏まえ、「今回の論文で紹介した抗菌性義歯が将来的に実現し、患者様の口腔内QOLを向上させる一助になれば」と小正先生。本学は今後も、医療の発展と健康長寿社会の実現に貢献する研究を推進してまいります。
