
このほど、京都府立医科大学大学院医学研究科細胞生物学の吉澤達也教授と、本学歯学部生化学講座の吉川美弘准教授らの研究グループは、骨に選択的に薬剤を届けると同時に、骨吸収を抑制する機能も備えた新しい骨標的型ドラッグデリバリーシステム(DDS)を開発しました。本研究成果は、国際学術誌「Journal of Controlled Release」に2026年2月16日付でオンライン掲載されました(リンク)。
本研究で用いたのは、リン酸化β-シクロデキストリン(β-CDP)という化合物です。研究グループは、この物質が骨の主成分であるヒドロキシアパタイトに強く結合する性質を明らかにし、その性質を利用して薬剤を骨に集積させることに成功しました。さらにβ-CDP自体にも、破骨細胞の分化を妨げることなく、骨吸収活性のみを抑制する作用があることを見い出しました。
また、骨粗鬆症モデルマウスを用いた検討では、β-CDPの全身投与により骨量減少が強く抑制されることが確認されました。従来の骨吸収抑制薬には、骨に長期間蓄積することに伴う課題も指摘されていますが、β-CDPは比較的短時間で骨から減少する性質を示しており、新たな骨疾患治療技術としての応用が期待されます。

吉川美弘准教授
今回の研究成果について、吉川准教授は「今回の研究では、骨に集まりやすい性質と骨吸収を抑える性質を併せ持つ新しい材料を示すことができました。今後は、骨粗鬆症だけでなく、様々な骨疾患に応用できる治療基盤へと発展させていきたいと考えています。」とコメントしています。
骨粗鬆症に加え、がんの骨転移、骨壊死、感染症など、骨吸収の亢進が関わる様々な疾患に対して、適切な薬剤を骨へ選択的に届ける新たな治療プラットフォームとしての発展が期待されます。
