大阪歯科大学では、歯学教育に不可欠な人体解剖学実習が、献体者の尊いご厚志によって支えられていることへの感謝の念を忘れぬよう、毎年度、解剖体慰霊祭および四天王寺回向を執り行っています。
今年度の慰霊祭は11月14日、楠葉学舎講堂にて厳粛な雰囲気のなか行われました。当日は川添堯彬理事長・学長をはじめ、献体会である黄菊会の井上太郎会長や多くの教職員・学生が参列し、献体者の御霊に哀悼の意を表しました。式典では、歯学部解剖学講座の上村守主任教授が祭文を読み上げ、高い志をもって歯学教育の発展に貢献された献体者のご遺徳を称え、学生の学びを支えてくださったことに篤く感謝を捧げました。
焼香ののち、川添堯彬理事長・学長が挨拶し、「歯科医療人の原点は、命の尊さを知り、深い感謝の心を持って臨床へ向かう姿勢にある」と語り、献体者のご厚志を未来の医療に生かすよう学生を鞭撻しました。
今年度も、式典の運営には多くの学生ボランティアが主体的に関わり、受付や参列誘導、会場の設営補助などを通して、献体者への敬意をかたちにするべく、丁寧に活動しました。学生自身が慰霊の場を支える経験は、「学ばせていただいている」という意識をいっそう強くする機会となりました。

また、11月17日には、大阪・四天王寺にて回向を営みました。慰霊碑を前に読経が響く中、参列者は手を合わせ、献体者の安寧を祈念しました。本学では多年、宗派を問わず鎮魂と感謝の心を大切にし、この四天王寺回向を通じて献体の精神を継承しています。

献体者およびご遺族の皆さまの深いご理解とご協力があってこそ、学生は生涯忘れることのない貴重な学びを得ています。本学は今後も、この尊い精神を未来へ受け継ぎ、誠実な歯学教育・研究を通して社会へ貢献してまいります。


