優秀発表賞は、学術集会において発表された一般演題のうち、最も優秀な症例報告を行った発表者に授与されるもので、和田さんの演題は「ナイトガードの装着により閉塞性睡眠時無呼吸症が悪化した1例」。
歯の保護を目的として装着されたナイトガードが契機となり、閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)が悪化した症例を診断したうえで、下顎前方移動型口腔内装置による適切な治療によりOSAが改善した経過を報告しました。
ナイトガードは、睡眠時ブラキシズム(夜間の歯ぎしり)に対する一般的な治療法として広く用いられていますが、患者さんによってはOSAを悪化させるリスクがあることが知られています。今回の発表では、その適応を慎重に判断する重要性を臨床的に示した点が高く評価され、受賞につながりました。

睡眠歯科センターのメンバーで
受賞に際し、和田さんは次のようにコメント。
「このたび、毎年力を入れて取り組んでいる日本睡眠歯科学会で優秀発表賞をいただき、大変光栄に思います。症例発表での受賞でしたが、日頃から一つひとつの症例に真摯に向き合い、チームでカンファレンスを重ねてきたことが今回の結果につながったと感じています。これまでの積み重ねが間違っていなかったことを改めて実感し、今後の診療や研究への大きな励みとなりました。」
また、和田さんを指導した本学歯学部高齢者歯科学講座(附属病院睡眠歯科センター)の奥野健太郎講師は、「治療には必ず副作用(リスク)が伴い、その解明は臨床において極めて重要な意義を持ちます。副作用は発生頻度が低いため、多くの症例を扱う施設でなければ経験することが難しいのが現状です。本学附属病院の睡眠歯科センターは、日本における睡眠時無呼吸治療のハイボリュームセンターとして、トップレベルの実績を誇っています。大阪歯科大学だからこそ報告することができた本症例の経験が、学会優秀発表賞の受賞を通じて注目を集め、多くの歯科医師と共有されることで、結果的に睡眠時無呼吸症の患者さんにより適切な医療を届ける一助となることを期待しています」と話し、和田さんの報告が臨床現場にもたらす意義を強調しました。
睡眠中のいびきや無呼吸で悩みや困り事がありましたら、一度、本学附属病院「睡眠歯科センター」で受診してみませんか。
まずはお気軽に医事課地域医療連携室(06-6910-1537)までお電話ください。


